PRIDE無差別級GP観戦記④
2006年 09月 14日
ジョシュ・バーネット×-○ミルコ・クロコップ(1R KO)
「無冠の帝王」返上へ王手。ミルコ・クロコップ。
ベルトコレクター、遂にPRIDEのベルトにリーチ。ジョシュ・バーネット。
場内の声援はほぼ互角ながら、ジョシュの方がやや会場人気が高い印象。本来の実力に評価が追いついていなかったジョシュは、結果を出すことで完全に客の支持を取りつけてみせた。
ここまでの道のりを振り返ると、ミルコは美濃輪→吉田→シウバといずれも下の階級の相手ばかりで、やや楽に勝ちあがってきた印象。無差別級GPらしいと言えばらしいのか。
対するジョシュはアレキサンダー→ハント→ノゲイラと並み居る優勝候補をなぎ倒しての決勝進出。そりゃ客の評価も上がりますわ。これでミルコも蹴散らしたりしたら完璧なのだが、いかんせん準決勝での消耗が大きなハンデになりそう。
予想どおり、試合は序盤からミルコが着実に打撃を当てて主導権を握る。ジョシュの膝蹴りでミルコにドクターチェックが入ったときはヒヤリとしたが、ここは無事再開。
組み付いてからの打撃で活路を開きたいジョシュだが、やはりミルコの方が動きに余裕がある。冷静に距離を取ってパンチを当てていくと、ロープ際に詰めてから至近距離でパンチのラッシュを浴びせてジョシュがダウン。
もう気力で戦うしかないジョシュだが、この状態から驚異的な粘りを見せてミルコに決定打を許さない。客席からも大きな「ジョシュ」コールが連呼されるが、最後は顔面にパンチを食らったジョシュが目を押さえながらタップして試合終了。ミルコの指が目に入ったのが原因らしいが、このアクシデントがなくとも結果に変わりはなかっただろう。
激戦続きの無差別級GPは、決勝ラウンド開始前までは完全に無印扱いだったミルコの優勝という結末で幕を閉じた。
ワンマッチはともかくとして、GP準決勝・決勝の3試合は「素晴らしい」の一言。始まるまでは微妙なマンネリ感・予定調和感が感じられて盛り上がりきれない部分もあったのだが、とんでもなかった。考えてみればこの4人が潰しあいをして面白くならないはずがないか。
そんな激闘の末に、ミルコ優勝というエンディングを向かえたことも妙に感慨深い。これまで観客の求めるドラマを徹底的に排除し続けてきたPRIDEのリングが、その観客も忘れかけていた頃に「ミルコ復活」というドラマを提示したというのは皮肉なようでもあり、嬉しい誤算でもある。
前述のとおり組み合わせに恵まれた点があるとはいえ、4試合全て1ラウンドKO勝利というミルコの勝ちっぷりはお見事。勢いを取り戻し、無冠を返上した「帝王」が、このまま大晦日にベルト獲りという更なるドラマを生み出すことができるか。・・・・正直、厳しいとは思うけど。
ようやく完結。人気blogランキングへ