PRIDE武士道-其の十二- 観戦記③
2006年 08月 30日
ダン・ヘンダーソン×-○三崎和雄(判定)
4月の対戦時と同様、スタンドでの攻防を中心に試合が進んでいく。三崎がテイクダウンをとってもダンヘンはすぐ立ち上がってそれ以降の展開を許さない。三崎がフットワークと手数で休まず動き続ける一方で、ダンヘンは相変わらず攻めに転じる時のギアチェンジが上手い。一瞬でも集中力を切らした方が負け、という緊張感がリング上に流れる。
序盤はダンヘンが優位な雰囲気だったが、三崎のフックがクリーンヒット。ダンヘンの動きが明らかにガクッと落ちる。それでもこういう状況からのダンヘンの粘り強さは流石で、この後の足を止めての打ち合いでは逆にクリーンヒットを入れ返す。1Rはほぼ互角だが、ダンヘンの方が有効打が多い印象。
2Rも引き続きスタンドの攻防がメイン。互いに目立つクリーンヒットは入らなかったが、終盤はダンヘンが完全に守勢に回ってしまい、ローで攻め続けた三崎の積極性が目立った状態で試合終了。
終了のゴングが鳴った瞬間、思わず「あー、分からん!」と叫んでしまうほど微妙な勝負だったが、判定は3-0で三崎。1Rは僅差でダンヘン、2Rは三崎が取っていて、試合全体を通じて最後まで攻め続けたのは三崎だから、まあ妥当な判定か。
勝敗を分けたのはモチベーションの差か。ダンヘンは王者なのにどうしてまたGP?という気持ちが少なからずあっただろうし、特に思い入れもない相手とわずか4ヶ月間隔の再戦ではテンションも上がりにくい。「前回勝った側に『またコイツかよ』という思いがある」というリベンジが成功する条件にぴったりハマっていた感じ。
とはいえ、本来であればモチベーションの違いぐらいではひっくり返されないぐらいの地力の差があったはずだし、ダンヘンの持ち味の後半の粘り腰が今回発揮されなかったのも事実。負けるべき時期が遂に訪れただけ、と言ってしまってもいいのかもしれない。
五味隆典○-×デビッド・バロン(1R チョークスリーパー)
メインを飾るのは「元・絶対王者」の復帰戦。
五味はどうも体の大きさというか厚みがなくなった印象。のっけから不安になってくる。
開始直後はスタンドの攻防。当然ながら五味が圧倒的優位だが、ロープ際に詰めてもどうもあと一歩が攻めきれない展開。ラウンドの後半、グラウンドに持ち込むと五味があっさりバックを取る。ここもなかなか極めきれず少々やきもきしたが、最後はチョークを極めて一本勝ち。
結果から見れば復帰戦を完勝で飾った、ということになるんだけど、感想としてはだいぶ攻めあぐねた、という印象の方が強い。これまでの試合内容が神懸っていたから評価のハードルが高くなってしまっているのかもしれないけど、それこそ全盛期なら最初の2~3分でスタンドだけで仕留めていたんじゃないの?
メレンデス・青木の台頭に川尻の完全復活と、陣容が厚くなる一方のライト級。仮に今のメンバーでトーナメントを行ったら、五味は昨年のような圧倒的勝利を収められるか?残念ながら自信を持ってイエスということはできない。
興行自体は非常に濃密な内容で大満足。開幕時にあれだけ地味だ地味だと言われていたウェルター級GPが、なんだかんだで盛り上がる気配を見せているのが凄い。やはりPRIDEには選手の力を引き出す独特の磁場がある。
とはいえ、終了時刻が9時近く。日帰りだったので終電一本前の新幹線にようやく乗り込んで、駅弁も買えないままうつらうつらしながら帰京。やはり14試合は欲張りすぎた。最初の挑戦試合は要らなかったね。
ようやく終わった。人気blogランキングへ