ベラトールの感想。
ジョニー・エブレン〇-×アナトリー・トコフ(判定)
開始からガンガン前に出てパンチを振るっていくエブレン。下がらされるトコフだが、パンチは打ち返しており組みの展開になってもテイクダウンを許さない。
2Rに入るとトコフが左右の動きを増やし、パンチ・ミドルを積極的に出すようになっていく。パンチを効かされる場面もあったエブレン、ラウンド終盤に右を効かせるとタックルからテイクダウン。バックを取りながらすぐさまパウンドを叩き込む。エブレンの反撃はあったが、ラウンドを通じてパンチで攻めていたトコフのラウンドか?
3R、エブレンはまたもタックルからテイクダウン。立ち上がるトコフだが、エブレンはしつこくタックル→テイクダウン→倒れ際のパウンドを繰り返し、トコフを休ませない。ここでこの展開に切り替えられるのは強い。
互いに消耗した様子でスタミナ勝負の様相を呈してくるが、後半も主導権を握るのはエブレン。トコフはレスリング地獄を脱出できず、打撃戦に持ち込めないまま試合終了。5R終盤にジャーマンを繰り出すタフネスぶりを見せたエブレンが判定勝利で王座防衛。
打撃戦で不利になったらすぐさま組みの展開に切り替えられるエブレン、相手からしたら面倒極まりない存在。レスリング力で上回る相手をぶつければ面白そうだが、そういうファイターが今のミドル級にいるのかな。
ライアン・ベイダー〇-×エメリヤーエンコ・ヒョードル(1R KO)
ジャブを顔面に突き刺すベイダー。序盤はヒョードルの一発を警戒するかと思ったが、臆さず前に出て自らパンチを入れていく。対するヒョードルは大振りのフックを出すが空振り。打ち終わりにベイダーの右フックをもらったヒョードルがダウン!トップを取ったベイダー、ガード越しに肘!最後はハーフの体勢からパウンドをもらい続けるだけになったヒョードルを見て、レフェリー止めた!
後だしの発言はフェアではないが、開始前のヒョードルの表情を見た時点で「ケージの中に入った時点で今日の仕事は終了なんだな」という雰囲気は漂ってしまっていた。格下相手とはいえここ最近は復調具合にあったことと、ベイダーが下降線を迎えていることを合わせるともう少し面白い場面は見れるかと思っていたが。
今日のヒョードルでは相手が誰であっても勝敗は変わらなかった気がするが、お茶を濁す相手ではなく現役王者を選んだからこそ、ヒョードルのパフォーマンス云々とは別のヒリヒリした空気が流れていた。その意味で、引退試合としては成功だったのでは。
PRIDEを支えたノゲイラ、ミルコと比べると非常に長い現役生活。それが良かったのか悪かったのかは即断できないが、ヒョードルをねぎらうためケージ内に集結したオールスターの面々を見ていたら胸が熱くなってしまった。黄金期のヒョードルが見せてくれた、数々の名勝負に感謝。本当にお疲れ様でした。