エキサイトマッチの感想。まずWBCシルバー・ウェルター級王座決定戦、ショーン・ポーターvsアドリアン・グラナドス。
ポーターは1Rからガンガン圧力をかけて手数を振るう得意のスタイル。ラウンド終盤にはポーターの右がグラナドスの顔面にヒット!2Rもポーターはグラナドスのパンチを細かいウィービングでかわしながら、距離を詰めての連打。ボディアッパーや左右のフックを叩き込む。
互いにもみ合うように体を密着させての打ち合いになりグラナドスも手数を出すが、これはポーターの土俵か。4Rにはロープ際に詰めたポーターが、細かく左右にポジションを入れ替えながらラッシュ。6Rにグラナドスの右が入るものの、ポーターがすぐさま反撃。相手の打ち気を逸らしつつ、一旦前に出ると手数を出し続ける。
7Rにはグラナドスをロープ際に詰めたポーターが繰り返し右ストレートをヒット。さらに8R、グラナドスが飛び込んできたところにポーターがカウンターの右!リズムに乗ったポーターはこの後も左右のパンチを次々とグラナドスの顔面へヒット。しかしグラナドスもタフで、終盤に入ってもひるむことなく前へ出続けていく。
逆にポーターは攻め疲れたか、11Rに入った辺りからガクリと動きが落ちる。反撃に転じるグラナドスだがさすがにそれまでのビハインドは取り返せず、三者117-111でポーターが勝利。
続いてIBF世界スーパーライト級王座決定戦、セルゲイ・リピネッツvs近藤明広。
足を使うリピネッツに対し、近藤は前に出てロープ際に詰めようとする。2R、リピネッツは細かく上体を動かしながら手数を出すが、近藤もボディで応戦。
リピネッツは下がりながらの攻撃で攻め急がないものの、パンチが真っすぐで速い。一方の近藤は動きは悪くないものの攻め切れない、という試合展開だったが、5Rに右が入りリピネッツがバランスを崩したところで距離を詰め、ようやく攻勢に転じる。6Rには偶然のバッティングでリピネッツが額から出血。
後半に入った7R、近藤の左が繰り返しヒット。そこからさらに右につなげ、一気にリズムに乗ってくる。この後も近藤の動きは悪くなく単発のパンチも入るのだが、リピネッツがフットワークを使いながら細かいパンチをヒット。手数でリードする。
終盤も近藤は運動量を落とすことなく圧力を強めるが、リピネッツを攻め切れない。12R残り30秒のところで近藤の左右の連打がヒット。最後のアタックを仕掛けるものの、逆転の一打は入らず試合終了。6~8ポイント差でリピネッツが王座を獲得。
繰り返しになるが近藤の動きは終始悪くなく、海外で世界戦初挑戦という悪条件を感じさせない戦いぶり。それでもベルトを獲るにはどのラウンドも最後の一押しが足りず、逆にリピネッツが試合運びに秀でていた。日本人にはなかなかチャンスの巡ってこない階級だっただけに残念。
メインはWBC世界ヘビー級タイトルマッチ、デオンテイ・ワイルダーvsバーメイン・スティバーン。
開始から鋭いジャブを繰り出すワイルダー。1R残り1分を切ったところでワンツー!ガードをすり抜けて直撃をもらったスティバーンが一撃でダウン。ワイルダーは立ち上がったスティバーンに追撃を入れ、今度はガードごと吹き飛ばして2度目のダウン。最後は戦意喪失気味のスティバーンにロープ際で連打を入れフィニッシュ。
ワイルダーはキャリア唯一の判定勝利の相手であるスティバーンを完膚なきまでに粉砕しベルトを防衛。相変わらず一撃の破壊力がヘビー級の中でも頭一つも二つも抜けている。