WBA世界ミドル級タイトルマッチ、村田諒太vsロブ・ブラントを視聴。
入場時の表情からは余計な気負いは感じられない村田。1R、開始早々ブラントがスピーディーな連打。村田は笑みを浮かべ余裕は見せようとするが、アッパーも被弾し苦しい出だし。
2R以降も圧力をかける村田に対し、ブラントがジャブからの連打で先手を取り続ける展開。3Rから村田は右ストレート→左ボディのコンビネーションが入りだし、ようやくリズムをつかみ始める。
迎えた5R、村田の繰り返し放つワンツーがブラントを捉える場面が増え、右ストレートをもらったブラントがバランスを崩す!村田がようやく明確にラウンドを取り、これで流れが変わってくるか。
続く6R、追撃にいきたい村田だがブラントは手数で反撃。これも微妙なラウンドだが、やはり手数を出すブラントの方が印象がいい。
7R、村田は体ごとぶつかっていくようなパワープレーでブラントをロープ際に詰め、再び流れを引き戻そうとする。しかしブラントのパンチを被弾する場面も多く、ディフェンスをもう少し丁寧にしたい。
後半戦に入るにつれ流れは明確にブラントに傾いてくる。村田の右のタイミングを読んで被弾を避け、逆に村田の打ち終わりに2倍・3倍の手数を返していく。村田は焦りから強引な右の一発狙いが目立ってしまい、ますます手数で後手に回る悪循環に。
終盤のラウンドはブラントはリスク回避モードでフットワークを使いながら距離をとるが、それでも手数は落ちない。村田は巻き返しのチャンスをつかむことができず試合終了。
個人的採点は117-111でブラント。微妙なラウンドもいくつかあったが…とチラリと思ったものの、判定は119-109が2名、118-110が1名でブラント勝利。思った以上の大差がついたが、ジャブ重視のラスベガスの判定基準を考えれば納得の範囲のスコア。
今回はとにかくブラントを褒めるしかない試合。序盤のハイスパートな攻めで出鼻をくじくと、一瞬ペースダウンしつつも最後まで手数は落ちず、村田の右を徹底的に回避してペースを掌握。終盤は焦る村田を空回りさせ、プラン通りの戦いをやりきってみせたという印象。序盤は「最後までこのペースは持たない」と大半の人が思ったはずだが、驚異的なスタミナはお見事だった。
ビッグファイトを見据えていた村田陣営にとっては痛恨すぎる敗戦。ゴロフキン戦はおろか、群雄割拠のミドル級で再び浮上のチャンスをつかむことができるのか…。この一敗で村田の積み上げてきた功績が否定されるわけでは当然ないが、試合後の客観的すぎる発言内容などを見ていると、村田自信も巻き返しの難しさを理解しているのではないか。