永田×BOSS
2018年 07月 07日
見ているうちに自然と黙り込み(もともと一人で見ていたんだけど)、画面に見入ってしまった。
鳴り物入りのデビューからIWGP戴冠、そしてプロレス低迷期を経て、会社から提示されたポジションは「若手の踏み台」。2015年のドーム大会での本戦落ち・第0試合出場や48歳でのNEVER戴冠まで、この25年の永田の道のりをストレートに描き出した構成が好印象。
そして、その中で出てくる
「俺たちは消耗品かもしれませんけど、使い捨てじゃないんです」
「25年間時代の中で、会社の中で、そしてリングの中で戦ってきたんですよ」
「プロレスから学んだのは、たとえ倒れても、また立ち上がればいいってことですよ」
という矜持に満ちた台詞の数々。
仕事でも何でも、思い描く通りに成功し続ける人間はほんの一部で、大半の人間は大なり小なり面白くない思いや挫折感を抱えて歳を重ねてきている。永田のファン支持率が高いのは、こういう挫折感を隠さず、卑屈にもならず、真正面から受け止めてそれでもしぶとく生き続けようとする姿勢ゆえなんだろうな、というのを改めて実感させられた。
まもなく開幕するG1に永田の名前はないし、新日本プロレスでの出番も着実に減ってきている。それでも永田はブレることなく、自分の仕事に向き合い続ける。勝った人間にしか見えない光景があるのと同様、敗北と挫折を重ねて、それを乗り越えた人間にしかたどり着けない場所も、確かに存在するのだ。