反り立つ壁に撃沈。


by nugueira
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ロンダ・イズ・バック!

 毎年この時期の恒例になりつつある、レッスルマニアの気になる試合をチェックした感想。今年はロンダ・ラウジーのWWEデビュー戦を視聴。毎度YouTubeで見るのもさすがに恥ずかしくなってきたので、来年はこの時期だけでもWWEの配信サービスを契約した方がいいだろうか。DAZNの分お金も浮いているし。

 試合の感想の方に行くと、プロレスデビュー戦としては上々、ほぼ満点をあげていい試合だったのではないか。パンチ連打でトリプルHを追い込む場面は「なんちゃって格闘技」な感じがしてあまり好きになれなかったが、逆に言うと粗が目立ったのはこのぐらい。鉄柱激突といった身体を張ったムーブもしっかり見せてくれたし、トリプルHのパワーボムをラナで切り返したのには参った。フィニッシュのアームバーは「本当にへし折るつもりか!?」と思わせる迫力があったし、彼女の持つ「殺し」の要素を振りまきつつ、プロレスの世界で戦うためのスキルと覚悟もしっかりと示してくれた。アングル、トリプルH、ステファニーという芸達者たちに助けられた面は当然あるんだろうけれど。

 ただこの試合に関してはプロレス論的な分析を抜きに、ロンダがリング上で戦う姿を見ることができた、という時点で胸がいっぱいになってしまった。
 結果のみが求められるオリンピックアスリートの世界から、勝利と同時に人気と興業的成功が求められるプロ格闘技のリングへ。これだけで十分な冒険なのだが、それに加えてロンダは当時未開のジャンルだった女子MMAを自分一人の手で切り開き、背負い続けてみせた。常人には耐えきれないであろう重圧と向き合ってきた彼女が迎えた結末はご存じの通りで、自らが築き上げた女子MMAのレベルの上昇に呑みこまれ、2度のKO負けの末にオクタゴンから姿を消すことになる。
 おそらくは相当な額の金も手にしたであろう彼女が試合の重圧と向き合えなくなるのはある意味当然の帰結で、ロンダという稀代の存在をオクタゴンで見れなくなることに寂しさは感じつつ、これも時代の流れだろう、と自分の中では割り切っていた。

 そんな彼女が新天地としてエンターテインメントに振り切ったWWEの世界に身を投じる…というのはあまりに突拍子もない展開なのだが、これをやってのけてしまうのがロンダがロンダたる所以なんだろう、とも思えてくる。
 MMAからプロレスへの転身を楽な小遣い稼ぎ、と捉える人が未だにいるのかどうかはよく分からないが、仮にいるのならそういう考えは改めた方がいい。8万人の観客が集まり、自分の試合を巡って巨額の金が動く。そういう環境で試合をする重圧はMMAだろうがプロレスだろうが差異はないし、ましてやプロレスの観客は常に勝敗以外のプラスアルファを求めてくるのだ。
 リングに二度と足を踏み入れない選択肢は選ぼうと思えば選べたはずだが、それでも彼女はまたリングへ戻ってきた。MMAとプロレスというジャンルをまたいだ、ロンダの喪失と再生の物語を見せてもらえたのが、今年のレッスルマニアだったのだ。
 試合終了後に観客席にいるダナ・ホワイトの姿が映っていたが、UFC223を巡る諸々の騒動で疲労困憊のはずのダナも、いい表情を浮かべているのが印象的だった。かつてのドル箱スターを失った寂しさはあれど、彼もまたロンダという愛娘の新たな出発を心から祝福していたのではないだろうか。

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by nugueira | 2018-04-09 23:04 | その他(プロレス) | Comments(0)