衝撃決着連発のK-1たまアリ興業。格闘技の神は存在した。
2018年 03月 21日
チンギス・アラゾフ○-×日菜太(2R KO)
蹴りで攻めようとする日菜太に対し、アラゾフはロー、左右のボディ。日菜太の顔面をみるみる腫れ上がらせると、1R終盤にハイキックでダウンを奪う。2Rも前に出ようとする日菜太だが、アラゾフが左ミドルにどんぴしゃのタイミングで左フックを合わせ、日菜太は立ち上がれず。
予想通りの結果とはいえ、ここまで圧倒的な差を見せるとは…。アラゾフは試合全体を通じて力みを感じさせる場面が一度もなく、淡々と攻め続けているように見えるのにこの破壊力。脱力が一番強いんだ、という武道の極致を見せられるような戦いぶりだった。これもう相手見つからないぞ。
木村・フィリップ・ミノル○-×平山迅(1R KO)
木村は平山のパンチをがっちりガードで受け止めると、そこから返しのパンチ。左フックを繰り返し入れるが無理に勝負を急ぐことなく、右フックでダウンを奪うと最後は左でフィニッシュ。もうタイトルマッチに挑戦させてもいいんじゃない?と思ったが、本人はもう一戦挟んでからと殊勝な発言。
城戸康裕○-×イッサム・チャディッド(判定)
距離を詰めて左右のフックを振るうチャディッドに、城戸は奥足のローと左ストレート。チャディッドは距離が合っていない。2Rまでは城戸が距離をコントロールしややペースを握るが、3Rに入るとチャディッドの圧力を捌ききれなくなりフックが浅くヒットしだす。城戸にとっては嫌な流れ…と思ったところで、踏み込んできたチャディッドに城戸の左ハイがヒット!起死回生のダウンを奪い勝利を収めた城戸は、試合後のマイクで久保に挑戦を表明。順番的に木村を追い抜かすのも変なのだが、当の木村はもう1試合挟んでと言っているし、実績的にはまあおかしくない流れか。
ゲーオ・ウィラサクレック×-○平本蓮(2R KO)
ゴングと同時にゲーオが挨拶代わりのハイキック。しかし平本は慌てることなくゲーオのもう一つの武器である左ストレートを落ち着いてかわすと、パンチでは五分に渡り合ってみせる。平本が予想以上によく戦えているという印象で1Rが終了。
続く2R、平本がゲーオをロープ際へ詰めると、近距離の打ち合いから左右の連打をヒット!ゲーオがダウン!立ち上がるがダメージの濃いゲーオに平本が追撃の左を入れ、2度目のダウンを奪ったところでストップ!
新生K-1旗揚げ時に高校生だった平本がゲーオからKO勝利という、新時代への突入をこれ以上ないほど感じさせる結果に。この勝ち方を見せられたら、もう文句言えないわ。ゲーオはモチベーションの維持も含め難しい時期に入ってしまったか。とはいえ今の敗北が過去の栄光を帳消しにするわけではない。胸を張ってリングを降りてほしい。
ウェイ・ルイ×-○卜部功也(2R KO)
功也はミドルやテンカオを繰り返し叩き込んでペースをつかみ、更には速いハンドスピードでのワンツー。蹴りが冴えわたり、ウェイに主導権を握らせない。2Rも功也のペースで試合が進んでいくと、左ストレートがクリーンヒット!一撃で大の字に倒れたウェイ・ルイを見たレフェリーがたまらずストップし、功也が2階級制覇を達成。この日のパフォーマンスならウェイがコンディション良好でグローブハンデがなくても勝っていたと思うので、計量オーバーが逆の意味で残念。
武居由樹○-×久保賢司(1R KO)
武居が左ミドルを効かせてからの左ハイで久保をグラつかせると、ロープに詰めてのパンチ連打でダウンを奪取。立ち上がった久保を最後は左ボディからの右フックで仕留め、圧巻のKO防衛。勝負所でのラッシュ力と、攻め手の豊富さ・綺麗な打ち分けのスキルが相変わらず素晴らしい。実際は武居を憎んでいるかどうかも怪しいのに、ヒールを演じきった挙句に完璧な倒され方をした久保もプロだと思う。武居はもう寺戸と戦ってもらうしかないな。
小宮山工介×-○武尊(3R KO)
準決勝までの映像を見ていないのだが、小宮山が決勝まで上がってきたのは結構意外。1R、小宮山がバックスピンキックを出すが、武尊も負けじとばかりにスピンキックを返すと、ここからは徹底的に圧力をかけ続け距離を潰す。小宮山は自分の距離で戦えず苦しい展開。2Rも武尊が徹底的にプレッシャーをかけつつボディやミドル。小宮山は防戦一方となるが、武尊も決定打は入れられていないか。
小宮山にここまで逃げられてしまうと判定になるか…と思った3R、武尊がコーナーに詰めるとボディからの連打で遂にダウンを奪取!立ち上がるもののダメージの濃い小宮山からパンチ連打、そしてローでダウンを奪い続け、文句なしのKO勝利で3階級制覇を達成。
戦前の予想では武尊優勝としつつ「何が起きても不思議じゃない」と予防線を張りまくったのだが、そんな外野の不安や心配を吹き飛ばす圧巻の勝利。那須川との比較はもはやナンセンスだな、と思わせる武尊のパフォーマンスだった。