男祭りプレビュー⑨ 禍転じて福と成すか?桜庭・美濃輪の「明るく・楽しく・激しい大晦日」!
2005年 12月 25日
試合の見所:
「人生万事塞翁が馬」
高校時代に漢文の授業で習った故事が、久しぶりに頭をよぎった。
三度目の正直を狙った桜庭VS田村はまたも決裂。代わりの相手に誰を当てるにせよ、興業としてのテンションが下がることは避けられない。個人的には対戦相手はフランク・シャムロックと予想していたが、これにしても視聴者への訴求力、またフランクがどれだけのパフォーマンスを見せることができるのかという点で不安が残ってしまう。
しかし発表された代替カードは、急転直下の美濃輪との日本人対決。急造カードの感は否めないが、結果的に非常に噛み合うマッチメイクになったと思う。
ここ数年の桜庭の低迷の原因は、何よりも「体重差」に尽きる。本来の適正体重ではないミドル級で戦っているため、アローナ戦に代表されるように相手にパワー負けしてしまい、本来の動きを見せられない試合が続いていた。
アローナ戦後にDSE側はウェルター級への階級変更を提案したものの、桜庭はこれを固辞して体重増量を選択。復帰戦のケン・シャムロック戦はKO勝利を収めたが、増量が成功と言えるかどうかはまだ判断できない。
しかしウェルター級の美濃輪相手なら、力負けする心配は不要。全盛期のファンタジスタの動きを存分に披露できるはずだ。
噛み合わせという点では、美濃輪としても絶好の相手を引き当てた形になる。独自の「美濃輪ワールド」に相手を引き込む試合内容は観客の支持率が高いが、ブスタマンチ戦のようにリアリティーに徹した強さをもつ相手ではその持ち味が発揮されない。逆に言えば、桜庭のようなある種の「遊び心」をもった相手なら美濃輪の魅力を十二分に引き出せるのではないか。
大晦日とはいえ、格闘経験ゼロの素人をリングに出す単なるお祭りには乗る気にならない。一方で、あまりに過酷でリアルな現実を見せられるのも気が滅入る。桜庭・美濃輪の組み合わせならば、格闘技ファンが求める「祭り」にふさわしい、明るく・楽しく・激しい試合を見せてくれるのではないだろうか。
展開予想:
終盤にもつれこめば双方殴り合いに挑む場面が出てくるかもしれないが(これはこれで盛り上がると思うけど)、基本的にふたりともグラウンド勝負を望むはず。そうなると近年のPRIDEにはない「回転体」の攻防を堪能できそう。
勝敗に関しては、スタンド・グラウンドともに桜庭の優位は揺らがない。今回は体重まで上回っているし、大晦日初白星をようやく見ることができそう。とはいえ美濃輪という不確定要素を放り込んだ時点で、展開は完全に予測不可能。果たしてドロップキックとモンゴリアンチョップの応酬を見ることはできるか?
試合順も気になるところ。人気blogランキングへ