クラッシャー、オクタゴンを去る。されど格闘技人生は続く。
2016年 10月 18日
川尻はUFCでは3勝3敗。リリースされなかったとはいえ、デニス・バミューデス、カブ・スワンソンとランカー相手に連敗。UFC上位陣に通用しないことは明白になったうえでオクタゴンを去ることとなった。
ただ、この「UFC上位陣に通用しない」という結果を示せたことが重要で、網膜剥離による選手生命の危機を乗り越え、ファイトスタイルのアレンジを繰り返しながら白星を重ね、上位ランカーとの対戦が組まれるポジションまではたどり着いてみせた。川尻の試行錯誤と苦闘の爪痕は、少なくとも日本の格闘技ファンの心にはしっかりと刻み込まれたのではないか。
五味、川尻、青木というかつてのPRIDE軽量級トップメンバーの中で、この2~3年の間に限っていうと誰が真摯に世界の頂点へ立ち向かい、勝敗とは別の意味で「スッキリする」結果を示してみせたのか。まあ価値観は人それぞれなんだろうけど、ファンの評価という世界では明白に勝負がついたのではないか、と思っている。
川尻は網膜剥離手術直後のインタビューの中で、「自分と格闘技の関係の最後は、間違いなくハッピーエンドじゃないと思っています」という発言をしている。(こちらの記事を参照。)
UFCへの挑戦は途中撤退という結果に終わったが、不思議と今回の発表を見ている自分の中に、あまり悲壮感はない。次なる戦いの場がどこになるのかはまだ分からないが、前を見続けるクラッシャーの視線の先には、ハッピーエンドが待ち受けているのではないか。今はそう思えてならない。