ロマチェンコ&ブラッドリー
2015年 12月 10日
1Rからいつも通りのフットワークを見せるロマチェンコが、コアシチャに有効打を許すことなく逆に自らのパンチは着実にヒット。2Rまでで距離の設定を終えたのか、3Rにはロープ際に詰めたコアシチャに左右の連打。早くもワンサイドゲームになってくる。
5Rにはロマチェンコが連打→左に回り込んで連打→更に反対方向に回り込んで連打という得意の動きを披露。ノーガードで挑発する場面も見せ、完全にコアシチャを呑んでかかっている感じ。
こうなると焦点はいつフィニッシュするかに移ってくるが、後半戦に入ってもロマチェンコは攻勢を緩めない。ミット打ちのような軽快な連打からボディブローで追い込んでいくと、迎えた10R、またも左ボディをグサリ。後退したコアシチャになおもボディ連打を入れると、マウスピースを吐き出しながらダウンしたコアシチャは10カウントを聞くしかなかった。
相変わらずケタ外れのスピードとテクニックに加え、今回はキッチリKOを狙う積極性も見せており、プロ仕様へのアジャストを着実に進めている印象。(そもそもアジャストする前に世界王者になっていることが凄いんだけど。)ロマチェンコの試合からは引き続き目が離せない。
続いてWBO世界ウェルター級タイトルマッチ、ティモシー・ブラッドリーvsブランドン・リオス。
序盤から積極的に打って出ていくブラッドリー。ジャブを刺しながら左ボディ、さらにそこから左のトリプルへとつなげる。一方のリオスは増量し過ぎで体がダブついている印象だが、接近戦から離れ際に強烈な右を入れる。
スピードのブラッドリーvsパワーのリオスという分かりやすい構図になるが、ブラッドリーが1Rの勢いそのままにスピードと手数でリオスを圧倒。ジャブの連打を入れ続け、近距離の打ち合いでも臆することなくボディの連打を入れリオスにペースを握らせない。
リオスとしては体格差を活かして接近戦での一発を狙いたいところだが、接近戦でもブラッドリーの回転力の前に遅れを取ってしまい、逆転の糸口すらつかめない。リオスが左のダブル・トリプルや右のカウンターをもらい続けるままラウンドが経過していく。
迎えた9R、ブラッドリーは右のカウンターを入れると、そこから左ボディをヒット。効かされて下がったリオスに追撃のボディ連打を入れたところで、リオスが根負けするようにダウン。何とか立ち上がるリオスだが、ブラッドリーの連打をもらい力なくダウンしたところでレフェリーがストップ。
ここ最近は終盤に集中力を切らしてピンチを招く場面もあったブラッドリーだが、今回はその時間帯にたどり着くことすらなくKO防衛。ブラッドリーのKO勝利を初めて見た。
一方のリオスは、「激闘王」の看板がなくあまりにふがいない負け方。ブラッドリーのスピードに翻弄されサンドバッグのようにパンチをもらい続ける姿は、見ていて切ないというか痛々しかった。リオスはこの試合後の会見で引退を表明。アルバラードとの3度にわたる激闘はボクシング史上に残る名勝負だったが、やはりその代償は大きかったか。