ヴァンダレイ引退。また一つ消えていくPRIDEの残り香。
2014年 09月 27日
自分の格闘技初観戦であるPRIDE.10にシウバも出ていたのだが、ディフェンスの固さに定評があり、当時としては格上と見られていたガイ・メッツァーをKOしたことで「凄いのがいるな」と思ったことをよく覚えている。
出世試合はいうまでもなくPRIDE.13の桜庭戦で、それまでグレイシーに4タテを食らわせていた桜庭をKOし、一気にトップ戦線へと躍り出てみせた。自分が就職してから「明日は仕事に行きたくない」と本気で思った唯一の日がこれなんだよなあ。
当初はその風貌もあって完全にヒールとして位置付けられており、団体もファンも「誰がシウバを止めるか」というアングルで見ていたわけだが、桜庭との再戦となったミドル級タイトルマッチを制すと、その後も連戦連勝。ミルコがPRIDEに乗り込んできた際にはPRIDE代表として迎え撃ち、力ずくで結果を出し続けることで「ヒール」から「PRIDEの顔」へと駆け上がっていった。
王者として出場した2003年ミドル級GPでも1回戦で桜庭との3度目の決戦を制すると、決勝ラウンドでは吉田・ランペイジを破り優勝。さらに翌年はタイトルマッチでランペイジを返り討ちにし王座防衛。2度目のランペイジ戦では煽りVで「PRIDE DREAM」というフレーズとともにシウバが紹介されていたが、まさに日本MMA黄金期を象徴する存在の一人であり、彼自身もこの「黄金の地」で数多くのものを手に入れてきた。
PRIDE末期は段々と負けが込むようになり(ミルコやダンヘンが相手なので決して価値を落とす敗戦ではなかったが)、PRIDE消滅後に参戦したUFCでは約5年3ヶ月の間に4勝5敗。3度目の対戦となるランペイジ戦でKO負けを喫したのをはじめとして結局最後までタイトル戦線に絡む位置まで浮上はできず、この辺りは残念ながら「PRIDE時代がキャリアのピークだった選手」と分類せざるを得ない戦績だった。
それでも久しぶりの日本での試合となった昨年のブライアン・スタン戦では、年間ベストバウト級の殴り合いの末にスタンを粉砕。結果的にこれがキャリア最終戦となった点も含めて、日本との縁の深さを感じさせられる一戦だった。
このように日本の格闘技ファンにとっては思い出の尽きない選手だけに、コミッションの薬物検査を拒否したドタバタ劇の挙句に引退表明、という終わり方を迎えてしまうのはとても残念。ネバダ州コミッションは永久出場停止という処分を下し、シウバ本人も去り際にUFCへの批判を展開と、とにかく後味の悪さだけが残ってしまった。
こうなると北米プロモーションでの活動は相当制約される、というか事実上出入り禁止だろうし、これを機会に日本にまた来てくれないかなあ。でも受け皿になってくれる団体というと・・・うーん・・・。
やっぱりこうなったら新日本の1.4ドーム大会参戦かな。ジョシュ・バーネット&ヴァンダレイ・シウバ組vs桜庭・永田組とか、ギリギリ試合として成立しそうな感じもするじゃん。
最後はシウバにグーで殴られた永田が白目むいて失神ね。人気ブログランキングへ
だからこそ、メタモリスの桜庭vsヘンゾの再戦はイイ試合を期待しています。
ヌゲイラさんの思い出深いPRIDE.10以来の顔合わせですしね。
スタン戦を見た時はまだやれる!と思ったのですが…
現代とは倫理観も競技性も全然違う訳ですし、昔の事はもうそっとして欲しいんですけどね。
今回のシウバの場合はそれよりも人間性が垣間見えたのが残念でしたね。
今はネット時代ですし、こういう行動をしたという話も一瞬で世界を駆け巡ります。
ドーピングの問題を抱えるにしても、検査からも公聴会からも逃走したというのはあまりにもひどい結末に思えました。
お前は男だ!とかやたら言ってて未だにそんな思い出に思い入れあり過ぎな日本人がいけないのかも知れませんが、こんな形での引退は悲しいですね。
もしもスタン戦が引退試合だったなら、多くの人が涙したと思うのですが。
あの当時は薬物のことなんて微塵も考えずに、ただただスゲーとしか思ってなかったですよね。
誰もがノゲイラとの頂上決戦を望んでいたはず!
PRIDEの枠の中だけで考えても、それが叶う前にヒョードルが現れ、
シウバはアローナに敗れ、その後ミルコに粉砕され。
絶対王者なんていないということを思い知らされたものです。
それにしても晩節を汚してしまった罪は大きい。
いつにないコメントの多さに、日本のファンのシウバへの愛着の大きさを改めて実感しました。皆さんご指摘のとおりこの去り際はあまりに残念ですが、それをもってシウバの生み出した名勝負の価値が落ちるわけではないと思いますので、時代を作った名選手の引退を、じっくり噛みしめたいと思います。
>ユウツギ様
メタモリス、攻めますよねえ。この試合は本当に楽しみです。