クリチコ、マレス、メイウェザー
2013年 05月 05日
まずは3団体統一世界ヘビー級タイトルマッチ、ウラジミール・クリチコvsフランチェスコ・ピアネッタ。初回にいきなりクリチコのワンツーがヒット。ピアネッタとしては懐に入りたいところだがその糸口すらつかめず、クリチコはピアネッタのパンチを被弾することなく着実に右の打ち下ろしをヒット。ガード越しとはいえダメージは着実に蓄積していき、いつもながらのクリチコの試合展開に。
解説の香川照之が「ヘビー級のボクシングは荒々しいぶつかり合いだったのが、クリチコが貴族的ボクシングを持ち込んだ」といったコメントをしていたが、確かに的確な表現かも。まあ決まりきったパンチを黙々と打ち込んで職務遂行するクリチコの戦いぶりは「公務員的ボクシング」と呼んだ方がしっくりくるかも、などとも思ったが。
結局クリチコは4Rに右を打ち込んで最初のダウンを奪うと5Rにもダウンを重ね、6Rにワンツーから返しの左を打ち込んで勝負あり。見ている人間全員が予想したとおりの結果で盤石の防衛劇。前にも言ったが、クリチコに勝つにはクリチコが歳を取るのを待つしかなさそう。まあ最近はホプキンスの例なんかもあるから、何年待てばいいんだという話にもなってきちゃうけど。
続いてWBC世界フェザー級タイトルマッチ、ダニエル・ポンセ・デ・レオンvsアブナー・マレス。1Rはレオンが積極的に手数を出していきポイントを奪取。しかし2R終盤、両者が間合いを測った際に一瞬の隙ができたところでマレスの左フックがクリーンヒット。技ありの一発でマレスがダウンを先取する。
3Rもダメージの残るレオンにマレスが左フックを当て試合を優勢に進めるが、4Rにレオンが左をヒットさせるとマレスの動きが一気に落ち、一転してレオンのペースに。5R以降もレオンは手数で攻め続け一気に試合の主導権を握る。マレスも打ち返してはいるのだがレオンのボディブローで動きが落ちてしまい、ポイントは全てレオンに持っていかれている印象。
このままレオンが押し切って終わるかと思われた9R、近距離での打ち合いからマレスの右フックがクリーンヒットしレオンが2度目のダウン。立ち上がった後もダメージの残るレオンをマレスが追撃し、ロープ際で連打を打ち込んだところでレフェリーがストップ。マレスがまさかの大逆転KOで王座を奪取。
リプレイを見たらマレスの右フックは下を見ながら打っているので狙った一撃ではないだろうけど、あの状況であれを当てたマレスを誉めるしかないわ。二転三転の逆転KOという見応え十分の名勝負でした。
トリはWBC世界ウェルター級王座統一戦、フロイド・メイウェザーvsロバート・ゲレロ。
右ストレートを打ち込むメイウェザーにゲレロはきっちり打ち返して連打を許さず、クリンチ際にしつこくパンチを連打。2Rには勢いよく左ストレートを打ち込み、メイウェザーにペースを握らせない。メイウェザーはクリーンヒットは許していないしリードパンチも出しているので採点は微妙なところだが、個人的には1・2Rともゲレロ。メイウェザーは相当やりにくそうな感じ。
しかし3Rに入るとメイウェザーのギアが上がり、フットワークでゲレロの前進をかわし続けると右ストレートを繰り返しヒット。ゲレロとしては2Rのようにガンガン前に出て打ち合いに持ち込めばポイントが取れる可能性もあるのだが、メイウェザーがそれをやらせてくれない感じ。気づけば相手に触らせることなく着実に自分だけが有効打を入れていく、いつもながらのメイウェザーの試合になっている。
ゲレロはなおも前進して距離を詰めようとするが、8Rにはメイウェザーがボディブローの餌を撒いてから右フックをクリーンヒット。試合の流れを決定づける。
1年のブランクがあるメイウェザーは終盤どうなるかとも思ったが、9R以降も特に問題はない様子。逆に消耗が激しいゲレロに対し終盤は安全運転に徹し、客席からブーイングが飛び交うなか試合終了。3者ともに117-111でメイウェザーが王座統一し、格の違いを示した。
ゲレロに対しては「偉い、よく3ラウンドも取った」と声をかけたくなるような試合内容で、メイウェザーは相変わらず強かった、としか言いようのない結果。とはいえKOを狙わず露骨に逃げ切りを狙った終盤の試合運びは不満が残る。メイウェザーはShowtimeとの大型契約が話題になっているけど、仮に今後もこういう試合運びに徹した場合は契約に見合うビッグビジネスとして成立するのかな、というところは少々気になった。
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クリチコ兄弟の場合崩せそうな展開が全く想定できないですね。
以前は身長差を生かしてるだけだからズルイとか思ってましたけど、自分より大きな選手も一蹴してますしね。
メイウェザーの場合、あれが許されちゃうんですよね。
そういう地位を確立したってことが、凄さの証でしょうか。
負けない限り、メイウェザーの試合は常にメガマッチ成立でしょう。
ただ、実際問題ここ最近の試合でクリチコにとって想定外の事態は起きていないんでしょうね。
メイウェザーについては仰るとおりで、確かに「メイウェザーの試合」自体に商品価値が発生しているのかもしれません。今回の6試合契約は事実上の引退カウントダウンになるでしょうし。