三崎引退
2012年 12月 22日
いきなり水を差すような発言になってしまうが、三崎の印象について言うと「あまり好きではない選手」というのが正直なところ。インタビューなんかでは精神論的な発言が多く、試合内容もゴツゴツとした戦いで、全体的に無骨というか泥臭いイメージが強かったのが個人的に肌に合わなかったのだと思う。
一方で三崎の試合の方に目を向けてみると、これがもう文句のつけようがないから困ってしまう。かつて三崎について「一生に一度できるかどうかの試合を1年に1度のペースでやってしまう男」と評したことがあるのだが、改めて振り返ってみても他に適切な表現がみつからない。
「試合に負けて喧嘩に勝った」PRIDEウェルター級GP制覇、当時化け物としか思えなかった秋山相手の劇的な逆転KO勝利(裁定は後にノーコンテストに変更)、SRCでの2度にわたるサンチアゴとの死闘、そして結果的に最後の公式戦となったデイリー戦では血みどろになりながらも逆にデイリーを下がらせての勝利…といずれも勝敗という結果を抜きに強く印象に残る試合ばかり。
「○戦無敗」だとか「鮮やかなKO・一本勝利を連発」だとか、圧倒的な強さを示すことのできる選手は数多くいるが、見る側の記憶に残る試合をここまで連発した選手というのは空前絶後なのではないだろうか。
最初に言った「三崎をあまり好きになれない」というのはこれと表裏一体のところがあって、分析不能な強さを発揮して奇跡的な試合を連発してしまう「理屈を排除してしまう存在」であるところに違和感を感じていたせいなのかな、と今になって思っていたりもする。
ミルコがMMAから徹底しヒョードルも引退し、時代は確実に次のステップへと向かっている。今回の三崎の引退も、間違いなくそうした「時代の区切り」の一つなのだろう。
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