さらば修行僧
2011年 06月 09日
「名勝負製造機」として数々の激闘を生んできた前田だが、なんと言っても思い出深いのは07年8月のKick Returnトーナメント1回戦での梶原龍児との試合。(当時の観戦記はこちら。)
死力を尽くした殴り合いの末の、大逆転KO勝利。観戦中も試合後も感動のあまり涙が止まらない、あまりに凄い内容だった。
一撃の破壊力で観客の度肝を抜く選手は、時々目にすることができる。華麗なコンビネーションで観客を魅了する選手も、世界に数多い。だけど、試合を通じて「生き様」を示し、それによって観客の心を打つことができる選手はめったに出てこない。前田はその数少ない選手の中の一人だった、と思う。
めぐり合わせなのか本人の意向なのか、K-1のリングとは縁がなく、戦績も最近は負けが込んでいた。知名度としてはキックボクシング好きでないと認識していないレベルの選手、というカテゴリーに入るのだろう。だからこそ、キックボクシングファンをやっていて、前田にめぐり合えた幸運に感謝しているのだけれど。
ブログでも繰り返し書いているが、昨年あたりから旧全日本キックのフェザー級四天王が結果を出せなくなり、時代の潮目は確実に変わり始めている、と感じさせられることが多くなった。時間の流れは止まってくれないし、永遠にリング上に立ち続ける選手というのは存在しない。格闘技ファンを長くやっていくということは、こういう「別れ」を経験し続けるということでもある。
それでも今は涙をこらえて、前田が見せてくれた数々の激闘の思い出に、ただひたすら感謝したい。
大好きな選手でした。一番いいなあっておもうところは戦うスタイルもそうですけど、試合前や試合後も相手を挑発するような言動などを一切言わなかったことですね。余計なことを言わないところは素敵だなあってずっとおもってました。
もうこういう選手は出てこないかも。
昔の記事をわざわざご覧いただいてコメントがもらえるのもブロガー冥利に尽きるので、嬉しい限りです。
ファイトスタイル、キャラともに「真っ直ぐ」という表現がしっくり来る選手でした。確かに今後こういう選手は出てこないかもしれないですね。