反り立つ壁に撃沈。


by nugueira
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2017年 09月 10日 ( 1 )

 WOWOWで見たボクシング・スーパーフライ級ダブル世界戦の感想。まずはWBO、井上尚弥vsアントニオ・ニエベス。

 1Rから全く固さを感じさせない井上は、ジャブを面白いように突き刺すとそこから右ストレート、左ボディ。いつも通りの動きでニエベスを呑んでかかる。
 井上の強打を警戒したニエベスはガードをがっちりと固め、相手の打ち終わりを狙っていく戦法。それでも井上はガードの隙間をくぐるように左ボディを突き刺し、ニエベスの腰が一瞬落ちる。チャンスを迎えた井上だが、残り10秒の拍子木でラウンド終了と勘違いしてコーナーに戻ってしまうボーンヘッド。
 その後も井上は一方的に攻め続けるものの、さすがにここまでガードを固められるとなかなか打ち崩せない。4Rには井上の方から一旦距離を置いて、相手のパンチを誘いだそうとする。
 迎えた5R、これまでも何度か出していた井上の左ボディブローが、ガードの隙間を縫ってグサリ!たまらずダウンしたニエベスは何とか立ち上がるものの、これで試合の趨勢はほぼ決着。6Rはガードを上げて逃げ続けるだけのニエベスに、井上はプレッシャーをかけながら上下のパンチ。ノーガードでニエベスを挑発する動きを交えながら一方的に攻め続ける。後はどうフィニッシュにつなげるか…と思っていた6R終了後のインターバルにニエベス陣営が続行を諦め、井上が圧勝のTKO防衛。
 6Rのパフォーマンスはやや過剰な感じで、ここだけ若干入れ込み過ぎの印象がなくもなかったが、全体的にアメリカ初進出のプレッシャーを感じさせない完璧といっていい試合内容。名のある相手ではないものの、ボディで相手の心を折ってのTKOはインパクト十分。本場のファンに「モンスター・イノウエ」の凄さは十二分に伝わったのではないか。

 続いてWBC、シーサケット・ソールンビサイvsローマン・ゴンザレス。
 ロマゴンは前回の反省を踏まえてか、やや大人しめの出だし。対するシーサケットはボディ・顔面への左をガンガン繰り出して先手を取っていく。ロマゴンは繰り返しバッティングのアピールをし、やはり神経質になっている様子。
 2Rからはロマゴンも圧力を強め、近距離での乱打戦に。これまでならこの展開が続くうちにロマゴンが主導権を握るはずなのだが、シーサケットはロマゴンのパンチを浴びながらもひるむことなく打ち返し、逆に左ストレートで先手を取る場面が目立つ。バッティング抜きに、ロマゴンがやりにくそうな印象のまま3Rが終了。
 そして迎えた4R、ロマゴンが接近しての打ち合いを挑むが、シーサケットの右フックがカウンターで直撃!もんどりうつようにダウンしたロマゴンは何とか立ち上がるが、ダメージの深さは明らか。シーサケットはすぐさま追撃に行くと、またもカウンターの右フック!大の字に倒れたロマゴンを見てレフェリーがストップ!

 あのロマゴンがKO負けを喫した、というだけで十分ショッキングで、しばらく目の前の光景が理解できなかったのだが、それ以上に衝撃的だったのはこの負けが出会い頭の交通事故ではなく、ロマゴンは負けるべくして負けたとしか思えないこと。これまでは至近距離の打ち合いでも自分は有効打をもらうことなく一方的に殴り続け相手を消耗させていったが、今回はその展開になっても逆にパワー差で押される場面が目立ち、最後は狙い澄ましたカウンターに沈んだ。
 前回の判定負けが微妙かつ不運な内容だったことは今も疑いのない事実だが、やはりロマゴンが全盛期の力を失い、階級の壁に阻まれる立場になってしまったこともまた事実なのだ…ということを改めて思い知らされた形。正真正銘、今日は一つの歴史が終焉を迎えた日になった。

 完璧なアメリカデビューを飾った井上だが、同じ日の同じ会場でターゲットだったロマゴンが凋落の時を迎えたのは皮肉というべきか、神様のいたずらというべきか。ソールンビサイとの統一戦を来年まで引っ張って実現する必要性もあまり感じられないし、早々にバンタム級に転向しかないのだろうか…。

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by nugueira | 2017-09-10 23:01 | ボクシング | Comments(3)