反り立つ壁に撃沈。


by nugueira
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戦極の乱2009の感想②

 休憩明けに次回第7陣の概要を発表。会場が代々木第二と、いきなり堅実路線に。まあ世界同時不況の折、妥当な判断だと思いますが。

吉田秀彦×-○菊田早苗(判定)
 グラウンドで攻め手を見出そうとする菊田に対して、吉田は寝技には必要以上に付き合わず、スタンドの打撃中心で押していく戦い方。菊田は足関節を狙う場面は作るものの、それ以上にスタンドで劣勢の場面が目立ち2Rまでは劣勢。吉田はガードナー戦で自分がやられた戦い方をなぞっているような印象。
 このまま吉田が逃げ切るかと思われた3R、打ち合いに応じた菊田がパンチをもらいグラつくものの、吉田に投げられた体勢から素早くバックを奪い、そのまま上をキープし続けて試合を終了。逆転で接戦をものにした。
 柔道技をほとんど見せず、体格差を活かしてスタンドの攻防に徹する吉田の戦術は「格闘家」としては正解なんだろうけど「柔道家」としてはどうなのだろう、という疑問を感じずにはいられなかった(青臭い意見だとは思いますが。)。
 対する菊田は、不利な展開に追い込まれながらも、寝技という自分のフィールドにこだわり続けた戦い方で逆転勝利。自分の歩んできた「道」に殉じる覚悟を見せた菊田の気迫が勝利をたぐり寄せた、という感想はあまりに感傷的に過ぎるだろうか。

三崎和雄×-○ジョルジ・サンチアゴ(5R チョークスリーパー)
 1R、サンチアゴのローに合わせた三崎のパンチでサンチアゴがフラッシュダウン。2Rにはサンチアゴがパンチでダウンを奪い返すものの、どちらかというと動きがいいのは三崎。ローキックにボディブローやバックスピンキックも効果的に混じえて、サンチアゴに主導権を握らせない。
 ポイントは三崎がわずかにリードか、という雰囲気で迎えた最終5R、これまでスタンドの攻めに徹してきたサンチアゴがここでタックルを仕掛けテイクダウン。マウントからバックを奪うとチョークスリーパーを極め、逆転の一本勝ち。最後の最後でサンチアゴの地力が三崎を上回った。
 正直サンチアゴのワンサイドゲームを予想していただけに、三崎がここまでの大接戦を演じたのは驚き。大一番の三崎は本当に外れがないなあ。5Rの長丁場にも関わらず最終ラウンドまで一瞬たりとも緊張感の途切れない、文句なしの名勝負でした。

五味隆典×-○北岡悟(1R アキレス腱固め)
 北岡の入場はいつも通りの自己陶酔満点の表情。とはいえ、今の北岡はこの表情すらある種の「凄味」を発しているように見えてくるから怖い。これが結果を積み重ねてきた人間の持つ説得力か。
 対する五味はPRIDE時代のテーマ曲で入場。本来ならテンションが上がりまくるところだが、これすら「北岡劇場」の演出の一部として飲み込まれてしまうのでは、と思えてしまう。
 試合開始後、しばらく様子を見合う両者。北岡のタックルを五味が一度は切るものの、バックを取った五味が北岡を投げグラウンドの展開へ。あっという間に足関節を奪う北岡に、五味は一度は耐えてみせるもののあえなくタップアウト。わずか2分弱、「絶対エース」になるはずだった男は、あまりにもあっけなく敗れ去った。
 予想どおりの結果ではあったけど、それでも五味が負けた瞬間は思わずテレビの前に崩れ落ちた。「時代が変わる瞬間」というのは、こういうものなのだろうか。アウレリオ戦の敗北のときとは違い、五味がこの敗戦から這い上がることができるのか、全く確証が持てない。
 一方の北岡については、もう絶賛するしかないでしょう。この試合も北岡にとっては「アウェー」の空気が漂っていたようですが、もはやキモイの一言で片付けていい存在じゃないですよ。

 今回は戦極にとってのベスト興業、というより早くも今年のベスト興業候補じゃないでしょうか。メイン・セミの2試合が掛け値なしの名勝負で、個人的には吉田-菊田もグッとくる内容だった。久しぶりに「格闘技を見た」という気がします。
 メイン・セミに関しては「予定調和ではないけれど説得力十分の圧倒的な現実」というのが、全盛期のPRIDEに通ずる世界観を生み出していたと思います。その結果敗者となったのが五味と三崎、というのは皮肉と言えば皮肉ですが。
 戦極はこの1年間の積み重ねがようやく実を結んできた感じで、今後への期待感が俄然高まってきた。不況の煽りによる資金難が最大の懸念事項だけど。

 これで一仕事終えた感じ。人気ブログランキングへ
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Commented by サモアン at 2009-01-09 21:42 x
今回の戦極は濃い興行でしたね。

でも吉田菊田戦のレポートは感傷的に過ぎますよ(笑)
もちろんnugueiraさんを悪く言う意味でなく。菊田は持ち味を信じ、そして活かしましたね。
吉田も引退をほのめかすくらいだから、それなりにこの試合で出し切ったと思ったんではないかと推測します。

あと三崎は単なる判定製造機から名勝負製造機に化けましたね。
極められてしまったときは自分も思わず「あぁー」って叫んでしまいました。それだけ感情移入を誘う名選手になったんだと思います。
ウェルター級グランプリのカーン戦を生観戦した身にとっては感無量です。
Commented by ムーラー at 2009-01-09 23:03 x
三崎ーサンチアゴは5分5Rの戦い方に対する
日米セコンドの経験の差が出たように感じました
5R目の三崎は迷いが感じられる明らかに挙動不審な表情で
ポイントを守るのか攻めるのか決めかねているうちに
サンチアゴに寝かされて首を絞められてしまいましたね
解説の郷野や中村カズも5R目の戦いは全く未知の領域で
先の展開は想像もつかないような様子だったので
三崎側のセコンドも的確な指示を出せていなかったのでしょうね
Commented by nugueira at 2009-01-12 22:19
>サモアン様
 菊田の死に場所はどこにあるのか、というのが数年前から気になっているので、菊田の試合にはつい色々な感情が入り込んでしまいます。
 私も三崎のウェルター級GP優勝を会場で見て「何でお前が・・・」と思ったクチですが、本当に化けましたねえ。

>ムーラー様
 三崎は5Rで急に集中力が切れたような印象も受けました。ご指摘のようにGRABAKA対ATTのチーム力の差が出た、とも言えるでしょうね。
by nugueira | 2009-01-08 23:32 | その他(総合・寝技系) | Comments(3)