全日本キック観戦記③
2008年 03月 29日
1R、パンチで出ていく前田に対してルンラウィーはミドルで対抗。ルンラウィーのミドルはスピード・威力ともに申し分なく、場内騒然。
2Rに前田のパンチがルンラウィーを捕らえるが、逆にルンラウィーはこれで火がついたか、ミドルとヒザ、ヒジで逆襲に転じる。3Rは完全にルンラウィーが主導権を握り、スピードと手数で前田を圧倒。前田は下りながら防戦一方になる。
後半はルンラウィーは流しに入ったか、自分からはあまり手を出さず様子見の感じ。前田はこれまでと変わらずパンチを振るい続けるが、決定打は奪えずに5Rが終了。
全体としてはルンラウィーのペースだったが、判定はルンラウィー1-0のドロー。前田は「自分の負け」と言っていたしルンラウィーも判定に不服があったようだけど、2Rが前田、3Rがルンラウィーということでまあ妥当ではないかと。ルンラウィーは後半もはっきりと攻勢を見せておかないとダメでしょ。
とはいえ、てっきり噛ませ犬かと思っていたルンラウィーの予想外の強さにびっくり。やはりタイには探せばいくらでも強い選手がいるということか。
山本真弘×-○F16・PKPラチャノン(4R TKO)
F16は16歳なのにキャリアが60戦だか70戦だかで、ルンピニーのランカー。児童の人権にうるさい欧米のNGOとかが見たら騒ぎ出しそう。
1R、真弘は間合いを測りながら素早い出入りでパンチを出していくいつものスタイルだが、クリーンヒットはなし。対するF16もミドルの早さが尋常でなく、さすがルンピニーの現役ランカーという感じ。
2Rに入ると真弘のパンチが徐々に当たりだすが、F16のスピードも落ちず、跳びヒザを見せる場面も。
ほぼ五分の展開ながら、有効打の数で上回りつつある真弘がやや優勢か、と思われた4R開始直後、真弘のパンチと交錯するようにF16のヒジがヒット。この一発で山本はカットしてしまい、無念のレフェリーストップ。
一階級下の相手にスピードで五分以上に渡りあった真弘だが、最後はヒジ一発に沈んだ。こういう際の場面での強さがやはりムエタイの真髄か。
トーナメント制覇・タイトル防衛という流れで来て、K-1トライアウト合格後の初戦というテーマも抱えて挑んだ真弘は、またもやムエタイの壁に阻まれた格好に。どうしても2年前のワンロップ戦がフラッシュバックしてしまうが、あの時のように長いトンネルに入ってしまわなければいいのだけど。