反り立つ壁に撃沈。


by nugueira

K-1MAX観戦記③

魔裟斗○-×アルトゥール・キシェンコ(2R KO)
 序盤からボクシング技術に勝る魔裟斗がパンチで主導権を握ると、ラウンド中盤からはローキックを連打。キシェンコの動きが目に見えて悪くなってくる。このまま魔裟斗の一方的なペースになるかと思われたが、終盤にはキシェンコの伸びのあるパンチを不用意に被弾してしまい、やや不安の残る終わり方で1R終了。
 しかし2R開始から1分たらず、魔裟斗がカウンター気味の左フックをヒットさせキシェンコがダウン。このまま起き上がることができず、遂に魔裟斗が3年ぶりとなる決勝進出。カリスマが王座奪回へリーチをかけた。

アンディ・サワー○-×アルバート・クラウス(判定)
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 佐藤戦のダメージが大きいはずのクラウスだが、序盤からパンチでサワーをロープ際に押し込んでいく。サワーはがっちりブロックすると、跳びヒザやローキックも交えた上下のコンビネーションをきっちり打ち返していく。
 この後も互いに決定打を許さないハイレベルの攻防が続くが、中盤以降圧力が弱まってきたクラウスに対し、終始きれいな打ち分けで攻め続けたサワーが判定2-0で勝利。4年越しのリベンジに成功した。
 それにしてもクラウスのタフネスと根性は凄い。佐藤のヒザとローをあれだけ食らった後にも関わらず、準決勝も最後まで前進を止めなかった。今回の試合内容も3ラウンドで終わるのがもったいないぐらいのクオリティーで、この2人の再戦はぜひ5ラウンド制で実現してほしい。

安廣一哉×-○イ・スファン(判定)
 安廣はリーチに勝るスファンの懐になかなか飛び込むことができず、逆にコーナーに詰められた状態でストレートをもらってしまいダウン。この後も安廣は胴回し回転蹴り等で奇襲を狙うもののスファンを崩すことができず、逆に2Rにまたもストレートでダウンを喫してしまう。
 スファンの攻めも「上下に散らす」というより「狙いがはっきりしない」という感じで散漫に攻撃している印象が強かったが、最後までリーチ差を活かした試合運びに徹し、大差の判定勝利。今後上位進出を狙うには、勝負どころでのアグレッシブさが欲しいか。

魔娑斗×-○アンディ・サワー(2R終了 TKO)
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 1R、魔娑斗はこれまでの試合と同様、回転の速いパンチのコンビネーションで先手を取っていく。サワーはそれをガードすると確実にローを返していく。この日のサワーはドラゴ、クラウスとハードパンチャーとの試合が続いているが、連打で攻め込まれても焦らず、ガードしてから反撃のタイミングを伺う冷静さが光る。1Rは魔娑斗が手数でやや優勢な印象のまま終了。
 しかし魔娑斗はこれまで蓄積されたローのダメージが効いているのか、2Rに入ってサワーのローキックをもらうとガクッと動きが落ちる。一方のサワーは1Rが様子見だったかのように、得意の上下のコンビネーションを繰り出しエンジンが全開になってくる。魔娑斗はダウンこそ免れたものの、ラウンド終盤は完全に足が動かなくなってしまう。
 観客の悲鳴のような歓声が飛び交う中、3R開始のゴングが鳴っても魔娑斗はコーナーから立ち上がることができない。そしてセコンドからのタオル投入。「カリスマ完全復活」という最高のエンディングは、この瞬間に砕け散った。
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 魔娑斗の敗因は、やはりブアカーオ戦で全てを使い切ってしまったことに尽きると思う。3試合を戦うワンデートーナメントでは、決勝以前に「大一番」を迎えてしまってはそれ以降の試合でモチベーションをピークに保ち続けることは難しい。一方のサワーがドラゴ、クラウスという「強豪相手の試合」であっても、きっちりと自分のスタイル・ペースを保ち続け、肉体的にも精神的にも消耗の少ない状態で決勝のリングに上がったのとは余りにも対照的だった。とはいえ、魔娑斗の試合後のインタビューでのサバサバした発言内容から察するに、本人としても今回は「優勝以上にブアカーオに勝利したい」という部分が少なからずあり、この結果にも納得が行っているのではないだろうか。
 
 ブアカーオ戦から決勝まで、会場全体を「魔娑斗劇場」の世界へ引きずり込んだ魔娑斗の存在感にはいつものことながら、いや、これまで以上に圧倒させられたが、その一方でMAXの今後を考えると不安感を覚えずにはいられないのも事実。以前から言われていることではあるが、「魔娑斗後」のMAXの姿が、どうやっても想像できないのだ。
 サワーやブアカーオといったV2王者には、見る者を圧倒する強さ・技術はあるが、それ以上の+αとなるドラマ性が欠けている。別にサワーやブアカーオが物足りないというわけではなく、本来は強さだけがものさしとなるべき格闘技の世界に、これだけのドラマ性を持ち込むことができる魔娑斗が凄すぎるのだ。
 「魔娑斗抜きのMAX」という世界観を果たして作り上げることができるのか。これから数年間のMAXが抱えている最大の課題は、この一点に尽きると思う。

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by nugueira | 2007-10-06 23:20 | K-1MAX | Comments(0)