PRIDE男祭り2005観戦記①
2006年 01月 01日
これで5年連続になる大晦日の格闘技観戦。永久に続くとは思っちゃいないが、格闘技ファンにとってはいい時代だ。
アリーナ席の後ろの方あたりはやや空席が目立つ感じ。チケット値上げの影響だろうか。
スペシャルチャレンジマッチ 金子賢×-○チャールズ・クレイジーホース・ベネット(1R 腕十字)
金子賢のチャレンジマッチはオープニングセレモニーの前に実施。ちなみに金子の入場テーマは「キッズ・リターン」のテーマ曲ではなく、なぜか「ビバリーヒルズ・コップ」のテーマ曲。
ゴングと同時に金子が飛び蹴り。そのままベネットに組み付くが、逆にベネットがテイクダウンを奪う。ベネットがパウンドを打つと客席から「顔だけはやめて!」という悲鳴(男性)が。
金子は下の体勢から三角絞め、さらにTKシザーズを狙っていくが不発。上をキープし続けたベネットが最後は柄にもなく腕十字で勝利。契約で打撃を制限されていたか?
金子の入場時にブーイングよりも声援が多かったのが驚き。世間の皆さんは暖かいねえ。
金子を出場させたDSEの判断に賛同できる要素は全くないが、試合順の位置づけや対戦相手の選定で最低限の一線は引いてくれたことには安心した。金子の格闘技続行は別に止めないけど、今度出るのは一般人対象に定期的にやってるPRIDEチャレンジにしてほしい。それなら誰も文句言わんから。
オープニングは高田がPRIDEオープニングテーマに合わせてタップダンスを披露。あまりのチャチさに失笑。続いてプロのダンサーによるパフォーマンス。
各選手のテーマ曲に合わせて踊る趣向だったが、途中なぜかノゲイラも入っており「ギリギリまで出る方向だったんだな」「曲目の変更が間に合わなかったんだな」という事情を窺わせた。
タップだけでは客が納得しないと踏んだか、その後は高田が2年連続ふんどし一丁で太鼓を披露しながら選手紹介。
第1試合 中村和裕○-×近藤有己(判定)
開始早々に中村がタックルでテイクダウン。いつもながらのポジションキープ力には優るが決め手に欠ける展開。それでもパウンドを積極的に打っている中村がペースを握ったかと思った1R終盤、スタンドで近藤の何ということのないハイキックがヒットし中村がダウン。急に勝敗の行方が分からなくなる。
2R以降はダウンのダメージかスタミナ切れか中村が失速。タックルを狙うが真正直すぎて近藤に切られてしまい、上を取っても体勢をキープするだけで有効打が出ない。リングサイドに座る修二と彰を時々カメラが抜いていたが、ともに「つまんねえよ」と言いたげな表情。
後半は近藤が押し気味に試合を進めたまま終了のゴング。こりゃ中村負けたな、と思ったら判定は3-0で中村。場内大ブーイング。
グラウンドで優位なポジションをキープしたのがポイントということか?でも後半まともに攻めてないしなあ、釈然としない。近藤は2年連続不明瞭な判定に泣く大晦日となった。
第2試合 ジェームス・トンプソン○-×ジャイアント・シルバ(1R KO)
客の期待どおりトンプソンがゴング&ラッシュ。倒れたシルバの上体がロープ外に出てしまったため一度ブレイクがかかるが、再開後もシルバをテイクダウンしたトンプソンが一方的に殴る・蹴るを続けてレフェリーストップ。VTR見たら最初のラッシュでアゴを打ち抜いてたから、そこで止めてもよかったみたい。
与えられた役割をきちんとこなしたトンプソン、第1試合のもやもやをきれいに吹き飛ばしてくれた。
第3試合 菊田早苗○-×瀧本誠(判定)
グラウンドで最初に上を取ったのは瀧本。しかし菊田は足関節を仕掛けるとそのまま上を取り返す。ここから菊田は簡単にパスガードするとサイドポジション→マウント→腕十字→上四方の体勢から首固め→バックに回ってスリーパーと休む間もなく攻め続け瀧本を翻弄。完全に主導権を握る。
2・3Rもほぼ同じ展開。とにかく菊田の寝技がすばらしい。上を取られても相手の道着の裾をつかんで簡単にスイープしてしまうし、上を取ってからのパウンドから関節技につなげる技の流れが完璧。最後の方は菊田がサイドポジションを取ったぐらいでは客が沸かなくなってしまった。最後を極めきれず一本勝ちこそ逃したものの、圧倒的内容で菊田が完勝。試合後に菊田がコメントしていた「(試合の点数は)観客的には10点。自分の中では100点」という発言は非常に的確で、大晦日ではなく通常のPRIDEシリーズで組んだ方がいい玄人好みの試合だった。
金メダリストに何もさせず完封する菊田を見て、これほどの実力をもつ選手が全盛期にPRIDEに本格参戦できなかった不運について考えずにはいられなかった(現役を引退するわけでもない菊田に対して失礼な発言だとは思うが。)。ミドル級規定の93キロには軽い体格も一因だったはずで、武士道の中軽量級戦線が本格化する時期に間に合わない「歴史の端境期」に全盛期を迎えてしまったのが菊田の悲劇だろう。
試合後のインタビューで今後のPRIDE継続参戦には言葉を濁した菊田。やはり最大の目標は近藤とのタイトルマッチか?この日のコンディションを維持できれば、来るべき近藤戦でのリベンジは十分ありうる話だと思う。
観戦記次回へ続く。人気blogランキングへ
>シュリ様
あのイエローカードの基準もよく分からないですよね。ガードでがっちり固めちゃうと駄目ということなんでしょうけど、それでジャッジに影響するのも何か可哀想な気が。
> gaucho 様
菊田は今興行の技能賞ですね。堪能させてもらいました。
こちらこそ、今年も引き続きブログ定期的に拝見させていただきます。
>ヒデ様
やっぱり日本人対決増やしたのは間違いでしたね。あれなら外人同士えもスカッと決めてくれる試合の方が大晦日向きだったのに。