メイウェザーvsマクレガー決定。ドリームマッチの先に何があるのか。
2017年 06月 15日
無敗のまま引退した5階級制覇王者と、UFC初の2階級同時制覇を成し遂げた現役王者の激突。間違いなく凄い事態ではあるのだが、正式発表を目にしても自分の中に高揚感はあまり湧いてこない。MMA側の目線で見る限り、この試合が何かの到達点だとは思えないし、この試合から何かが生まれるとも思えないのだ。
ビッグマウスと類まれな打撃センスで瞬く間にUFCの頂点へと登り詰めたマクレガーがメイウェザーを引きずり出したのは事件ではあるのだが、この結果として昨年11月以来UFCライト級のタイトルマッチは行われず、完全に停滞状態。この試合が組まれることでオクタゴンにおけるマクレガーの空白期間は1年以上に及ぶことになるし、何よりメイウェザー戦で巨額のファイトマネーを手にするマクレガーがオクタゴンに戻る理由はもはやなくなってしまうのでは。この試合の実現は「マクレガーの金銭的勝利」ではあっても「MMA、UFCの勝利」になるとは思えない。
マクレガーに刺激を受けて、という理由なのかは分からないがここ最近のUFCは各王者ともマネーファイト狙いの言動が目立つようになり、「その時、強い奴同士が闘う」という格闘技の醍醐味から離れつつある。ネイト戦の辺りから「マクレガーはUFCのビジネス規模をボクシングへ近づけたが、ベルト軽視というボクシングの悪しき文化も引き寄せてしまった」と思っているのだが、やはりオクタゴンの中の磁場は狂いつつある。
文句は言いつつも当日は絶対見てしまうことは間違いないのだが、果たしてどういう展開と結果になるか。2年のブランク、対サウスポー、スーパーウェルター契約とメイウェザーにとって不利な条件も多いが、なんと言ってもマクレガーはボクシングのリングに上がるのは初めて。最大限面白い想像をしても、「試合勘の戻らない序盤にメイウェザーがまさかのダウン。しかしそこから持ち直した後はマクレガーを完封し判定勝利」という辺りかなあ。