ゴン格休刊。老舗誌との幾度目かの別れ。
2017年 03月 22日
RIZIN旗揚げや新生K-1のプチブレイクにより国内の格闘技市場自体は底を打ったはずだが、そのタイミングで老舗雑誌が休刊。格闘技ファンになったばかりのライト層にとってゴン格がとっつきやすい内容だとは言いにくいし、雑誌市場そのものが縮小し続けている昨今の情勢からして、致し方ない結末なのか。ここ1~2年の値上げ状況からして「部数が伸びず、価格弾力性の低い固定ファン狙いなのかな」というのは何となく透けて見えてはいたけれど。
ネットが普及した時点で試合結果の速報性という点での紙媒体の価値は暴落していたわけだが、そんな状況にあってもゴン格は「専門誌が何を提供できるか・提供すべきか」という課題に向き合い続け、一定程度以上の成果を出していたと思う。
選手へのロングインタビューや技術解説により、テレビの試合中継やネット媒体では見えにくい背景情報を提示してくれていたし、それが次に試合を見る時の「この選手はこんな発言をしていたっけ」「高阪によるとこういう場面では選手はこう考えてるんだよね」という新しい切り口につながっていた。そういった、格闘技を見る際の「引き出し」の供給元が絶たれるのは自分にとってもジワジワ影響が出てきそうだなあ…。そういう楽しみ方をできる人間の数が増えていかなかったことが今回の休刊にもつながっているんだろうけど。
これまで2度の休刊を経験しながらも版元を変えながら継続してきたゴン格。果たして「3度目」はあるのか。今の出版業界の様子からして楽観的な気持ちには全くなれないが、まずは歴代編集部のこれまでの努力に心から感謝。最後となる…いや、300号の節目となる次号の発売を、楽しみに待たせてもらいます。