中邑壮行試合
2016年 02月 08日
今回の中邑のWWE移籍については色々な見方があると思うが、せんじ詰めれば「世界最大のプロレス団体によるエース引き抜き」であり、新日本にとって由々しき問題であるのは間違いない。
で、契約期間満了後の真っ当な移籍であり、正真正銘ワールドワイドなリングへの挑戦という前向きな行為であっても、新日本を離脱する中邑に対してはファンも関係者も愛憎半ばする複雑な感情が渦巻く・・・はずなのだが、「憎」の部分が拍子抜けするぐらい感じられなかったな。
インターコンチ王者決定戦に出るのが棚橋というのは既定路線だったので、それなら壮行試合では棚橋が中邑から3カウントを奪ってタイトルマッチへ名乗り、という展開もありだったはずなのだが、中邑がボマイェでサポートした後、石井が柴田に垂直落下を決め中邑組が勝利。徹頭徹尾、中邑を心地よく送り出すための試合だった。
これが今のファン気質か、という一言でまとめてしまうのも早計で、週プロに掲載された木谷オーナーのインタビューでも、「(WWEの侵攻が)想定より1年早かった」と経営者としての判断ミスを反省しつつ、中邑本人に対しては「頑張ってほしい」と素直にエールを送っているのが印象的だった。ファンも選手も団体フロントも、今回の移籍をドロドロとした空気でコーティングするつもりが全くなかった結果がこの壮行試合だった、ということなんだろうか。ファンの気質の変化に加えて中邑の実績、新日本自体は上り調子で今回の移籍はダメージはあれど致命傷ではないこと、といった要因が絡み合ってのことなんだろうけど。
ただ、これまでトップ4にいた中邑とAJが抜けた穴は、どうやったってすぐには埋まらないはず。木谷オーナーは3月の大田区体育館大会でのサプライズを予告していたけど、ここから新日本の巻き返しなるか、まずはお手並み拝見。