反り立つ壁に撃沈。


by nugueira

PANCRASE 273の感想

 ファイトパスで見たダブルタイトルマッチの感想を。この日MMAの熱が燃え盛ったのは、ラスベガスだけではなかった。

神部建斗○-×武蔵幸孝(1R 膝十字)
 開始早々に武蔵がタックルからテイクダウンを奪うが、神部はあっという間に潜り込んで膝十字へ。武蔵が耐え続け時間が経過するものの、神部は諦めることなく絞り続け、武蔵が観念するようにタップ。19歳の神部が最後のライトフライ級王座を獲得した。
 パンクラスの地上波開始当初から強いインパクトを残し続けてきた神部が、タイトルマッチでもその強さを如何なく発揮。戦前から神部にベルトを巻かせるためのタイトルマッチという印象が強かったが、そこできっちり期待通りの結果を出すことは簡単ではない。末恐ろしい、という表現がここまでしっくりくる若手選手にはそうそうお目にかかれない。

石渡伸太郎○-×ビクター・ヘンリー(判定)
 開始からパンチで前に出る石渡。組み付かれても払い腰でヘンリーを投げつける。だがヘンリーも打撃戦で互角以上に渡りあうと、ローブローからの再開後にパンチのラッシュ。石渡がタックルへ来たところをギロチンに捕らえるが、ここは石渡がラウンド終了まで耐えきる。期待通りのハイレベルなスクランブル合戦。石渡の動きも悪くないが、やはりヘンリーはこういう展開に強い。
 まぶたをカットした石渡は2R開始早々にドクターチェック。だが石渡はこれで開き直ったか、このラウンドは徹底したスタンド勝負。ヘンリーに組み付く暇を与えず、ラウンド後半には石渡のパンチがヘンリーを捉える場面が徐々に増えてくる。
 ポイントを奪い返し勢いに乗る石渡は、3Rも左ボディ、さらに顔面へのダブルで攻勢。スタンドの打ち合いで主導権を握り、一気に流れを引き寄せる。
 だがヘンリーはひるむことなく4Rも自ら打ち合いに応じ、消耗の見え始めた石渡を下がらせる場面を作る。石渡はトップポジションを奪うがヘンリーは下からの三角や腕十字。さらにギロチンの体勢に持ち込み、石渡をヒヤリとさせる。石渡も押されっぱなしになることなくパンチで攻め続け、ガード越しにパウンド。両者死力を尽くした激闘は最終ラウンドへ。
 最終ラウンド、後がないヘンリーは打撃で再び前へ。石渡はラウンド後半にヘンリーのラッシュをもらってしまうが、ケージ際まで下がりつつも左右のパンチを振るい続け、両者のパンチが交錯する壮絶な打ち合いのまま試合終了。中盤のリードを守り切った石渡が、三者とも48-47の接戦を制し、ベルト防衛に成功。
 
 ごちゃごちゃした解説は抜きに「二人ともすげえ」の一言に尽きる名勝負。1Rの劣勢を引きずることなくパンチ勝負で押し切った石渡も強かったが、打撃戦で劣勢にならず、最後まで五分、あるいはそれ以上の打ち合いを続けてみせたヘンリーも素晴らしい。ファイトパスを通じてこれだけの試合を結果を知らないまま見ることができる環境に、改めて感謝したい。
 神部の戴冠にせよ、石渡vsヘンリーにせよ、ここ最近、特に今年に入ってからのパンクラスが「線」として提示し続けたマッチメイクが確かな結果として実を結んだ形。この日のパンクラスには未来へとつながる胎動があり、観客が感情できるストーリーがあり、ハイレベルな技術に裏打ちされた熱戦があった。
 これは冗談でも脅しでもなく、年末のRIZINはまずはこれを超える熱気を生み出すことを目指さなければならない。そしてそれは、決して低いハードルなんかではない。

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by nugueira | 2015-12-14 23:35 | その他(総合・寝技系) | Comments(0)