反り立つ壁に撃沈。


by nugueira
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河野vs亀田

 夜まで情報遮断をして、WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ、河野公平vs亀田興毅を観戦。

 1R、亀田はいつものピーカブースタイルでガードを固めながら手数を出していく。河野も攻めていくものの有効打は入らず、このラウンドは亀田。相変わらずディフェンスが上手い。
 2R早々に河野の右フックが入り亀田が効いたそぶりを見せるが、この後は再び亀田が攻勢のまま時間が経過。密着しながらのボディブローで河野がダウンするが、ここはローブローと判断され5分間のインターバル。そして再開直後、亀田の打ち終わりに合わせた河野の右がカウンターでヒットし、亀田がダウン!河野は一発で試合の流れを引き寄せ、序盤からリードを奪う。
 続く3Rも河野が手数を出し続け、得意な近距離での打ち合いに持ち込む。一方の亀田はローブローで2度にわたり減点を食らい、このラウンドだけで河野が3ポイントのリード。ちょっと試合として成立しなくなってきた感が漂い始める。
 この後も河野は無尽蔵のスタミナと回転力のある連打で攻め続け、一気に試合を掌握する。亀田はいつものピーカブースタイルをやめて近距離での打ち合いに挑むが、これは打ち合っているというよりも打ち合いにひきずりこまれているといった方がいいか。6Rには亀田のローブローのアピールをレフェリーが流すという、TBS時代とは真逆の場面まで登場。
 亀田も手数はよく出しており決してワンサイドの展開にはさせていないのだが、やはり近距離の乱打戦では河野の回転力が上回る。後半に入っても右フックを繰り返し叩き込み、亀田の顔面を赤く腫れ上がらせる。だが9Rには亀田の左ショートフックが入り、河野をフラつかせる。このラウンドは河野にホールディングの減点もあり急に面白い展開となってくるが、続く10Rは河野が再び手数で圧倒。嫌な流れをすぐに断ち切って見せる。
 終盤に入っても河野の回転力には衰えが見えず、最終ラウンドも逃げ切りの気配を微塵も見せない真っ向からの打ち合いを演じてみせ、試合終了。最大で8ポイント差がつく大差の判定で、河野が亀田を斬って落とした。

 河野のスタミナと打ち合いでの強さはこれまでの世界戦でも分かっていたが、今回もそれを如何なく発揮。終盤になってもノンストップのラッシュを繰り出してみせる回転力は本当にお見事だった。対する亀田もディフェンスに徹することなく打ち合い、点数では大差がついたものの最後までスリリングな試合を生み出してみせた。ローブローの反則で序盤に試合の趨勢が決してしまったのがかえすがえす残念。

 そして試合後には亀田が突然の引退表明。キャリア的にもビジネス的にも八方ふさがりの状況であることを考えれば当然考え得る選択肢ではあったはずだが、全く予想外の展開だった。
 世間的には「せいせいした」という声が圧倒的なのだろうが、振り返れば自分も亀田に対して肯定的・同情的な時期があったはずで、このブログを遡っていくとそういうトーンの記事も確実に存在している。単純に「悪が滅びた」と喜ぶ気には、ちょっとなれない。一家総出でメディア・世間を巻き込みながら10年にわたりボクシング界の頂点(少なくともベルト保持、という意味において)に君臨し続けた、というのは日本では例がないだろうし、世界的にも稀有な例なのでは。興毅以外の2人が現役である以上ちょっと時期尚早かもしれないが、ボクシングにとって亀田家とは何だったのか、というのはすごく深いテーマだと思う。

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Commented by アンドレ・ホグ at 2015-10-18 00:04 x
河野のスタミナと打たれ強さが化物じみてて、この一戦に対する気迫を感じました。
亀田は日本でやっていたようなボディまがいのローブローやバッティング狙いのダッキングなど、それら反則を苦し紛れでもなく普通に試合中に使っていたことに正直幻滅しました。減点や観客からのブーイングなど、引退試合で初めてまっとうなボクシングを体験したのではないでしょうか。結果を知りながら試合を観ていましたが、亀田は勝ちへの執着のあまり自ら負けるように闘っているように見えました。

日本ボクシング界で亀田の名は、いろいろな意味で長く残るでしょう。ストイックなイメージが強いボクシングを「金があればなんでもできる」と現実をわからせてくれたことには感謝したいと思います。
Commented by みゆパパ at 2015-10-18 00:40 x
デビューから初の世界戦までは、決して嫌われている選手ではなかったですよね。
移籍騒動の際などは同情の声のほうが大きかったです。
ランダエダとの再戦や内藤との試合では、素直に弱くないんだよなぁと思ったものです。
その後は、誰の方針なのかは知るよしもありませんが、どうしょうもないマッチメイクで、
私が日頃から好きで追いかけているボクシングとは違うモノなんだと思うようになりました。

好きではないけど、積極的に嫌いと発信することもない興味のない選手、というのが一番しっくりきていたのですが、
河野戦が決まってからの一連のパフォーマンスを見せられて、
「日本では試合できないし、よい子ぶる必要がなくなったからの素の行動なんだろうな」と思うようになり最後にして心底嫌いな選手になってしまいました。

試合後インタビューでも、河野を称えることもなく、レフェリー批判を繰り返し、全然潔い引退宣言ではありませんでした。

アルヘイモンは非情な人との話も聞きます。
長男だけでなく、次男三男ももう使ってもらえないかもしれません。
いよいよ亀田家の行き場がなくなってくるのではと思います。

お口直しの予定だったフォンファラの試合もいまいちでしたw
本当のお口直しは明日ですね!
Commented by おっさん at 2015-10-18 16:38 x
亀田は決して特に強い王者ではありませんでしたが、王者クラスの実力がなかった訳でもありませんでしたし、マッチメイクや贔屓判定も今のボクシングの抱えている問題の延長戦上のものですし、周辺のドタバタはともかくとして、そこまでボクサーとしての価値のない色物だったとは思いませんね。

それだけに一選手としては、ボクシングに専念出来ない日々は可哀想だったとは思いますね。
若くしていろいろな関係の利害や対立に巻き込まれていった感もありますので、競技者としては大変だったでしょう。
もちろん人としては自業自得も多いんですが、この世界は品行方正真面目人間である必要もありませんので。
まあ結果として三階級制覇という金字塔は残りましたので、可哀想というのもおかしいかも知れないですが。
亀田がボクシングに専念出来る状況でしたら、もっと強く、もっと長く活躍できたのではと思いますね。

日本の協会、次男の時のIBFの対応、ジムやテレビ局主導のマッチメイク、作られる戦績やランキング等々、亀田という毒を飲んだ後のボクシング界でもあまり改善に向かってる風には見えないのは残念です。
今回の反則減点に関しては、さすがはアメリカだとは思いましたが。

河野は実力の差を見せつけた風に感じました。
亀田が耐えて耐えてなんとか試合が進んでいったように見えましたね。
手数もパンチのインパクトも常に亀田が劣っていましたが、ディフェンスはさすがに崩さないんだなあと。
派手に散る方がドラマチックで引退劇としては、一般に響いたと思うですけどね。
なんか、サラッと負けて引退して、このまま亀田家は空気になって消えていく感じがしますね。

練習や試合が嫌いじゃないなら、MMAに転向してRIZINに出てみては?と思ったりしてます。
Commented by おっさん at 2015-10-18 16:44 x
いや、実際RIZINの榊原さんは亀田にオファー出すって公言してるみたいですね。

榊原氏はさすがの嗅覚と行動の早さですね。
Commented by nugueira at 2015-10-18 21:31
>コメントいただいた皆様
 お三方とも長文のコメント、ありがとうございます。亀田というボクサーの受け止め方は私も含めて全員微妙に差があるように思いますが、やはり良くも悪くも語り甲斐のあるボクサーなのだろう、と改めて実感しました。

>おっさん様
 榊原さんの発言は完全にインパクト狙いでしょうね。昔はこういうのは谷川さんのポジションだったのですが…。
by nugueira | 2015-10-17 22:01 | ボクシング | Comments(5)