K-1GP観戦記②
2005年 11月 21日
準決勝 レミー・ボンヤスキー×-○セーム・シュルト(1R 判定)
セフォー戦と同様、開始直後から前へ出続けるシュルト。昔はこれだけの圧力の強さはなかったはずで、この時点で対戦相手としては打つ手がなくなってくる。
簡単にコーナーに詰められてワンツー・ヒザをもらい続けるレミー。あまりに手を出さないので「攻め疲れを狙っているのかな?」と思っているうちにへたり込むようにダウン。(後でスロー再生を見ても直前にクリーンヒットをもらっているわけではないので、本当に「心が折れた」ダウンだと思う。)
再開後もシュルトの猛攻は止まず、組んでからのヒザがガードをすり抜けてレミーにヒットし2度目のダウン。史上初の3連覇の野望はあえなく、あまりにあっけなく砕け散った。
3連覇を狙うチャンピオンが1ラウンドKO負け。客席から悲鳴や歓声が起こるべき場面だが、印象としてはむしろ「静まり返った」という表現の方がしっくりくるようなムード(当然、実際には歓声は起きていたんだろうけど。)。それほどまでにシュルトの強さが圧倒的過ぎた。
準決勝 武蔵×-○グラウベ・フェイトーザ(2R KO)
武蔵はアーツ相手なら一昨年の準決勝の要領で勝てるけど、一発があるグラウベの方が噛み合わせとしてはきついなあ、と思いながら観戦。図らずも予感が的中。
1R、互いに距離の測りあいのまま時間が経過。このまま特に動きがなく終了か、というところでグラウベの飛び込み様のストレートが武蔵にヒットしダウン。「判定上等」の武蔵としては一気に苦しい展開に。
ポイントを奪い返さなければならない武蔵、2Rはいつになく積極的に攻め込む。が、グラウベに蹴りの逆襲を食らい、半分背中を見せるような感じで真っ直ぐ後退。チャンスを逃さずに追撃したグラウベの跳びヒザが、ロープ際まで下がりきった武蔵の顔面にクリーンヒット。おそらくはK-1史上に残るであろう衝撃のKOシーンとともに、武蔵のGP制覇の夢も消えた。まあこの後、これと同じぐらい衝撃のシーンが飛び出すわけですが。
開始前に友人と
友人「今日は観客数どのぐらい水増し発表するんだろう。6万人載せるかな?」
オレ「いやー、5万8000人ぐらいに抑えるんじゃない?」
という話をしていたところ、決勝開始前に発表された観客数は5万8200人。K-1事務局は私のところまでニアピン賞を送るように。
決勝 セーム・シュルト○-×グラウベ・フェイトーザ(1R KO)
外国人同士の決勝の上に、両者ともコアなファン以外に浸透しているとは思えない地味な実力派。帰る人が続出してもおかしくない状況だと思うのだが、入場時には場内割れんばかりの大歓声。やはり日本の格闘技ファンは大人だ。
図らずも開幕戦の再戦となった決勝戦。前回判定とはいえほぼ何もできずに敗れているグラウベがどこまで善戦できるか。
開始直後、ここまでの2試合の再生VTRのように、プレッシャーをかけて組んでからのヒザを打ち込むシュルト。横から回り込むように打ち込んだヒザがグラウベの側頭部を直撃し、グラウベがそのままダウン。倒れてロープに首を引っ掛けながら失神するグラウベの映像は、完全なまでにバンナ-フィリォ戦のKOシーンとオーバーラップしていた。
開始わずか48秒。前評判の最も高かったシュルトが、前評判以上の圧倒的強さで初戴冠。
今回のシュルトの優勝劇は「圧勝」という以外の表現が見つからない。ここまで見事な勝ちっぷりでの優勝は、98年のアーツ以来だと思う。前に出てパンチ→組んでヒザという分かりきっているコンビネーションだけど、あの体格でこのスタイルを完成されるともう勝ち目がない。攻略できるとしたら横方向のフットワークがあって出入りの早い動きができる選手か?武蔵が一番近いんだろうけど、決定力に欠ける武蔵が勝つ場面はどうにも想像できないし・・・。来年以降シュルトが2連覇・3連覇を達成しても全く驚かない。それほどの試合内容だった。
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>ヒデ様
前から9列目!打撃が当たった時の音も生で聞こえるでしょう。うらやましい。
イグナショフが1度勝っていることは頭をよぎったんですけど、やはり2003年頃の強さを取り戻すのが大前提ですよね。今のイグナショフじゃ東京ドームにたどり着けるかどうかすら・・・。
>king様
初コメントありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
GPは毎年後半になるほどグダグダで「行かなきゃよかった・・・」と思うことの方が多いんですが、今年は後半戦がKOラッシュという大当たりの興行。毎年足を運んだかいがあったという感じです。