ブラッドリーvsバルガス、ブルックvsギャバン
2015年 08月 23日
まずIBF世界ウェルター級タイトルマッチ、ケル・ブルックvsフランキー・ギャバン。1Rは距離の探り合いからスタートし、ブルックは細かいスイッチを見せながら右をヒット。2R、ギャバンは細かいジャブに対してブルックはノーモーションの右ストレートを繰り出していく。3R、さらに圧力を強めるブルックは右ストレートから返しの左、さらに右ボディ。力強い連打を叩き込む。
ブルックの勢いは止まらず、5Rに右アッパーからギャバンをコーナーへ詰め連打。6Rもブルックは右アッパーを次々と叩き込みギャバンを圧倒。ラウンド終盤、ロープ際でアッパーからの猛ラッシュを叩き込んだところでギャバンが力尽きるようにダウンすると、レフェリーがすかさずストップ。
ブルックはポーター戦では相手の距離を外していた印象が強いが、今回はガンガン攻め続けてのKO。無駄打ちが少なくフィジカルも強固で、ギャバンが多少反撃してもものともせず押し返していた。こりゃ長期政権を築くかも。
続いてWBO世界ウェルター級暫定王座決定戦、ティモシー・ブラッドリーvsジェシー・バルガス。
1R、ブラッドリーは回転力のある連打を見せ手数でリード。2Rもブラッドリーが手数では優勢だが、バルガスはたまに見せる一発が重い。3Rはバルガスのジャブがよく出るようになり、いいタイミングでカウンターの右も出す。ブラッドリーのスピードに決して翻弄されていない様子。4R、ブラッドリーは再び手数で押していくとオーバーハンドの右。やはりブラッドリーがよく動けている。
5Rもブラッドリーが積極的に打って出ていくが、バルガスも打ち合いの展開からボディや右を入れていく。6R、バルガスは下がりながらもボディや打ちおろしの右をヒット。手数を取るか大きい一発を取るかで採点が分かれそう。
後半に入ってもブラッドリーのペースは落ちず、上手く距離をコントロールしつつ自分のリズムで踏み込んで連打。一発の威力はなくとも手数で押し続ける。一方のバルガスはラウンドを重ねるごとに手数が減り、完全にジリ貧の状態。攻め手が全く見いだせない。
終盤も後手に回り続けるバルガスをブラッドリーが翻弄し、ガス欠の気配すら見せずに豊富な手数で試合をコントロール。このまま判定か・・・という空気で迎えた最終ラウンド残り30秒のところで、バルガスが何度か見せていた相打ちでの右カウンターがクリーンヒット!ガクリと腰を落とし後退するブラッドリーだが、バルガスも仕留めきるだけの余力はなく、ブラッドリーがクリンチで凌ぐ。さすがに大逆転は起こらず・・・という残り10秒で、拍子木の音を試合終了と勘違いしたレフェリーが試合をストップ。TKOと勘違いしたバルガスがコーナーに登ってガッツポーズ、という前代未聞のハプニング。結局判定となり、3-0でブラッドリーがベルトを獲得。
解説のジョー小泉が「ブラッドリー気に食わない感」を露骨に出しており、確かに派手さはないけど今回の試合はさすがに評価してあげなきゃ可哀想なんじゃ、と思っていたところへ終盤のグダグダ劇。レフェリーのミスはブラッドリーの責任じゃないのだが、あそこで一発をもらってしまったのはいただけなかった。錚々たる相手に勝ってきた割に評価が上がらないブラッドリーだが、試合内容のつまらなさに加えてこの辺の詰めの甘さも一因だろうか。