反り立つ壁に撃沈。


by nugueira

山中、薄氷のV9。勝ってなお険しき、世界の頂。

 WBC世界バンタム級タイトルマッチ、山中慎介vsアンセルモ・モレノをテレビ観戦。

 山中は序盤から右を多用し、ジャブがよく出ている。ラウンド終盤にはジャブから打ちおろしの左を繰り出し会場がどよめく。モレノもジャブを多用しており微妙なラウンドだが、山中か。
 2Rもジャブの差し合い。山中はクリーンヒットはないものの、左のタイミングが徐々に合ってきた印象。
 両者ジャブが生命線の展開になるが、3Rに入るとモレノがジャブの差し合いで優勢になり、山中は手数が出なくなってくる。4Rには山中が圧力をかけ続け盛り返し、4Rまでの自己採点は39-37で山中。ただここまでは全て微妙な差で、どちらについてもおかしくない内容。
 しかし中盤戦に入ると、競った展開ながらペースは徐々にモレノへ傾いてくる。正確なジャブから左フック、左ストレートを要所要所で打ち込む一方で、山中の左の間合いは外し続け有効打を許さない。山中は焦れることはないもののなかなかリズムに乗れず、7Rは前半は悪くない攻めを見せながらラウンド後半にモレノの反撃を許してしまう。5R以降、山中は全く自分の試合をさせてもらえていない印象。自己採点は77-75でモレノ。
 公開採点でも劣勢になった山中は遂に焦りが出てしまったか、9Rはこれまでになく強引な攻めを見せていくが、これが裏目に。打ち終わりにモレノの左フックをもらいグラつかされると、この後もモレノの追撃に防戦一方。山中のこんな姿を見ることになるとは想像していなかった。
 絶体絶命の状況に陥る山中だが、これで終わらないのが王者の真骨頂。10Rにひるまず前に出ていくと、左ストレートを連打。遂にモレノをグラつかせる。この後のモレノは一気にペースダウンし山中が流れを引き戻すが、クリンチを多用するモレノを攻め切れず。
 このまま逆転したい山中だが、11Rは大振りが目立ち逆にモレノのパンチを被弾。この場面での攻め急ぎはもったいない。最終Rは完全に逃げ切りモードのモレノに山中が手数を出し続け試合終了。

 自己採点では115-113でモレノ。だが微妙なラウンドも多くどう転んでもおかしくはないか・・・と思ったのだが、案の定というべきか判定はスプリットで山中。大苦戦の末にバンタム級頂上決戦を制した。
 山中がホームタウンディシジョンに救われたのは間違いないのだが、それはボクシングでは想定の範囲内の話。モレノ陣営が納得しないのは容易に想像がつくが、アウェーでベルトを奪うだけの試合ができなかったということなのだろう。
 「神の左」に頼ることなく右主体の丁寧な組み立てで戦い続けた山中、その山中を正確なジャブと卓越したディフェンスでコントロールしたモレノ、嫌な流れを終盤に「神の左」一発でひっくり返した山中・・・と、試合を通じて両者のレベルの高さがこれでもかというほど伝わってきた名勝負。判定に消化不良感はあれど、これで山中の評価が落ちるものではないだろう。
 とはいえ、今回の山中には世界にその名を知らしめる快勝劇が期待されていたのは確か。試合後に本人が「気持ちだけでできた勝利」とコメントしたとおり、これで「バンタム級の頂点」を名乗るには物足りなさが残った。勝ってなお、世界の頂への険しさを再確認させられた一戦だった。

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Commented by おっさん at 2015-09-23 00:20 x
8Rのポイント公開後、9Rはモレノ10Rは山中で確定でしたが、11Rはモレノが獲ったように見えて「もう12Rを獲って1-0のドロー防衛しかない」と思い、12Rも獲れたかどうかわからないまま判定を待つって感じでしたね。
2-1で勝ち星が着くとは思ってませんでした。
おそらく二人のジャッジは11Rも山中に着けたという事でしょう。
ヒット数は常にモレノの優勢に見えましたが、終盤はモレノがクリンチに逃げる場面も多かったので印象勝ちとしてはギリギリOKの範囲だと思います。

やはりこの辺りの階級は、テクニシャンがジャブからの組み立てで淡々とポイントを重ねていくというのが怖い展開なのですが、最後まで攻略出来た印象は持てないまま終わってしまいましたね。
もちろんジャブの刺し合い等でも一方的にやられていた訳ではないのですが、上手くやられていた印象です。
終わった後の顔の腫れようを見ると随分差があったので、やはりモレノが相当打たれ強かったというのも間違いなさそうですが。

最後にもうちょっと追い込んでもらえれば勝った印象も良かったのですが、正直やや消化不良ですね。
次に期待しましょう。
Commented by ユウツギ at 2015-09-23 04:03 x
自分の採点も、全くおっさん氏と同じです。
ドローか負けかと思いました。
Commented by みゆパパ at 2015-09-23 14:10 x
私も、おっさんさんユウツギさん同様の感想です。
中継を観ながら12R終了時に1-0ドロー防衛かな、とツイッターでも呟いちゃいました。

ジャッジペーパー見ましたが、結構明確じゃね?っていうようなラウンドでもジャッジ割れてたりしましたので、やはりホームタウンディシジョンはあったと認めざるを得ないですね。

モレノもホームタウンディシジョンはあって当然とばかりに、明確にポイントを取りにいけなかったジャッジを受け入れる、と潔いコメントをしていたのが印象的です。
Commented by nugueira at 2015-09-23 16:21
>おっさん様、ユウツギ様、みゆパパ様
 モレノ1-0のドロー防衛ならまだ印象が違ったと思うのですが、ホームタウンディシジョンの色があまりに濃く出てしまったのが山中自身にとっても勿体なかったです。モレノは試合後の受け答えも「プロ」ですねえ。
by nugueira | 2015-09-22 21:23 | ボクシング | Comments(4)