ノゲイラ引退。さらば柔術マジシャン。
2015年 09月 02日
自分にとってノゲイラは思い入れの強い選手・・・というのはブログのタイトルを見れば一目瞭然なわけで、いざ「この日」が来てみると、言いようのない感傷的な気分になってしまう。どこまで整理できるかは分からないが、思うことを書き連ねてみたい。
自分がノゲイラを初めて見たのは第2回KOKトーナメントで、決勝ラウンドは国技館で会場観戦していた。徹底的なグラウンド技術でハン・金原・オーフレイムをなで斬りにしていく様は痛快で、大会終了時にはそのスタイルにすっかり引き込まれてしまった。当時の所属ジムだったヴァスコ・ダ・ガマのテーマ曲を3試合で都合6回聴かされたのもいい思い出。
リングス王者の肩書をひっさげPRIDEに参戦すると、コールマンやヒーリングを一蹴し、初代ヘビー級王座を獲得。コールマン戦では寝技だけでなくスタンドの打撃でも圧倒し、「間違いなくこいつが世界最強」とファンに納得させるパフォーマンスを見せ続ける。
2002年に国立競技場で開催されたDynamite!!では当時猛威を振るっていたボブ・サップと究極の「力vs技」対決。サップのパワープレーにKO負け寸前まで追い込まれながらも、驚異的な粘りで逆転の一本勝ちを収めてみせる。この試合はリングサイド席で見ていたが、客席にいた自分の感情まで今でも思い起こすことのできる、掛け値なしの忘れられない名勝負。
ヒョードルにヘビー級王座を奪われた後は結果的に「ナンバー2」の地位に甘んじたものの、これまたKO負け寸前からの大逆転を収めたミルコ戦、至高の寝技合戦を繰り広げたジョシュ戦と、記憶に残り続ける名勝負を連発。日本格闘技界の黄金時代を語るうえでは外せない存在であり続けた。
UFC参戦後はシルビアを破りヘビー級暫定王座を獲得したものの、PRIDE時代のハードワークが祟ったのか、この頃からパフォーマンスは下降線をたどり始める。ミアに敗れ暫定王座を失った後、クートゥアーには勝利を収めたものの、後にヘビー級王者となるヴェラスケスにKO負け。自分としてはこの敗戦は「引導を渡された」という印象があまりに強く、「リオの太陽はオーストラリアの地平線へ沈んだ」というフレーズが浮かんだことをよく覚えている。
果たしてというべきか、UFCブラジル大会では当時伸び盛りのシャウブにKO勝利を収めたものの、ミアとの再戦ではキャリア初の一本負け。2012年以降は負傷が続き、年1試合のペースながらもオクタゴンに上がり続けたが、先日のストルーブ戦で3連敗。満身創痍の状態でキャリアに終止符を打った。
客観的に見るならば最後の3戦は無駄に身体を傷つけてしまったという印象しかなく、もっと早く引退を決断していて然るべきだった。とはいえ、PRIDE時代は傷だらけになりながらも最後に勝利をつかんできたノゲイラにとって、こういう泥臭い形で終焉を迎えたのは「らしい」と言えなくもないか。
かつてヘビー級3強と呼ばれたミルコは一度MMAから身を引きながらも再度UFCへ復帰。さらにはヒョードルにも現役復帰の噂が流れるなど、時計の針が行きつ戻りつするのがMMAの常。だが二人と違い、一度も後退することなくUFCという最前線の戦場で闘い続けてきたノゲイラには、さすがにカムバックという選択肢はあり得ないだろう。語り尽くせぬ名勝負の記憶とともに、マジシャンはオクタゴンを降りる。
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グラウンドのノゲイラ、打撃のヴァンダレイ。
いつかはこの二人が階級を超えて対戦するのを夢見ていたものです。
感傷的になりそうなところですが、ふと現実的な感想が浮かんでしまいました。
無敗のまま引退していきそうなメイウエェザーってやっぱ凄い・・・
メイとノゲイラって日本でいうところの学年は一緒なんですよねぇ
いや、ノゲイラとメイウェザーが同学年というのを言われて初めて気が付きました。ここ数年のメイウェザーは試合内容のバッシングばかりが目立ちますが、やっぱり「無敗」でいるっていうのは偉大なことですね。
リングス時代からっていうのが本物のファンですね。
サップ戦は、僕も会場にいました。そういえば、リングサイドに熱烈なノゲイラファンがいたような。
いやいや、気づいてください。自分が格闘技ファン駆け出しのころから見ていた選手というのは、やはり思い入れが深いです。