反り立つ壁に撃沈。


by nugueira
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長谷川敗れる。王者は気高く、リングを去る。

 ボクシングW世界戦を視聴。当初まとめて感想を書くつもりだったが、長谷川の試合を見て色々な感情があふれ出てきたので、この試合単独で記事にさせてもらう。

IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ キコ・マルチネス○-×長谷川穂積(7R TKO)

 1R、先手を取ったのは長谷川。フットワークで距離をキープしながら左ストレート、ボディストレートを入れていく。ラウンド後半はマルチネスに距離を詰められパンチをもらう場面もあったが、このラウンドは取ったか。動きは悪くない感じ。
 しかし2Rはマルチネスが持ち味の突進力を見せ長谷川をロープ際に詰めると猛ラッシュ。打ち合いに応じる長谷川だがマルチネスに左右のフックを打ち抜かれ、クリンチでしばらくこらえた後にダウン。全盛期の長谷川ならこの展開でも打ち勝っていたはずだが、これが今の現実か。ピンチを迎える長谷川だが、追加のダウンは許さずこのラウンドを何とか凌ぐ。
 3Rも序盤はマルチネスが距離を詰め長谷川にパンチを浴びせるが、長谷川がボディフックから顔面へのパンチを入れて反撃。一気に押し切られてしまうかと思ったが、まだまだ分からない展開になってくる。
 続く4R、マルチネスの右で長谷川の動きが止まる場面もあったが、手数は長谷川。マルチネスは攻め疲れもあるのか、前に出る圧力が一気に弱まってくる。5Rには長谷川が距離をキープして手数でリードという流れが明確になり、2Rのダウンを除けば長谷川が非常によく戦っているという展開に。
 しかし6Rにはマルチネスが再び圧力を強め、近距離でのパンチを連打。ブレイク後のパンチで減点をもらいつつも、長谷川に左右のパンチを浴びせ追い込んでいく。やはり近い間合いでの打ち合いは長谷川に分が悪く、ここは何とか凌いでマルチネスの攻め疲れを待ちたい。
 だがマルチネスは勝負所を逃さず、7Rも距離を詰めての連打。マルチネスの左フックがカウンターで長谷川を捉え、痛恨の2度目のダウン。立ち上がる長谷川だがもう反撃の余力はなく、マルチネスの追撃を浴びダウンしたところでレフェリーがストップ。善戦といっていい内容ながらも、3階級制覇の夢は砕け散った。

 個人的には試合前は長谷川の敗戦を予想しており、その意味では予想通りの結末。それなのに、長谷川が負けた瞬間は涙が止まらなくなってしまった。
 自分が長谷川の試合を初めてまともに見たのは2度目のウィラポン戦で、この試合でKO勝利を収め「ウィラポン王朝」を完全に終焉させた長谷川は、10連続防衛というボクシング史に残る名王者としての地位を築き上げていく。
 数字もさることながら内容がそれ以上に圧巻で、上位ランカーを次々と1~2RでKOに仕留めていく姿はボクシング観戦歴の浅い自分にも凄さが伝わる、「強くて分かりやすい」名王者だった。駆け出しボクシングファンの時期に長谷川の試合をリアルタイムで見ることができたのは自分にとって幸運だったし、亀田家のゴタゴタで視聴率はともかくボクシングにダーティーなイメージがつきそうな状況だったこの時期に、長谷川という「本物」の王者がいたことはボクシング界・ボクシングファンにとっても救いだったのではないか。

 進退について長谷川はまだ明言していないので、名王者の引き際について外野が先走った発言をするのは失礼でしかないのだが、今回の試合内容は長谷川としても「やりきった」と言えるものだったのではないか。これも失礼な話だが、自分としてはもっとワンサイドな内容で押し切られると予想しており、ディフェンス・オフェンスともに全盛期に及ばないとはいえ、KOされるまでポイント的には互角以上の戦いをやってのけた辺りに、稀代の名チャンピオンの意地を見せられた思いがした。

 先ほど触れた2度目のウィラポン戦で長谷川はウィラポンをKOで返り討ちにし、これは一つの時代に幕が下りた瞬間だった。そして今日、幕を下ろした長谷川がリングを降りて一礼し、これとともにもう一つの時代が終わりを迎えた。自分自身もファンの一人として共に歩んできた「時代」の終わりは、見ているだけで胸がいっぱいになる光景だった。
 
 長谷川、ありがとう。いい試合でした。人気ブログランキングへ
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Commented by スラッカー at 2014-04-24 04:12 x
自分もよくやった、もう十分だという印象なのですが・・・
当った事のない自分には分りませんが、なかなかスポットライトの魔力というものは凄まじいらしいですからね

ただもう完全に打たれ弱くなってるので後遺症が酷くなる前にやめ「さす」べきですよね
辰吉をみてて切なくなってしまいました
Commented by みゆパパ at 2014-04-24 10:21 x
7R開始前のコーナーでの長谷川選手の顔がアップされたときに
「あぁ心折れかかってる」と感じてしまいました。

自分も含めた周りの声で圧倒的に多かったのが
「打ち合わずに足を使ってスピードで翻弄してくれれば」
「打ち合う悪い癖が出たらやられるだろう」といったもので、
おそらく長谷川選手自身にも、そういった外野の声は耳に入っていたのではないでしょうか。
それでも最終的にあの戦い方を選択し散っていったというところに、
長谷川選手本人にしか分からない想いといったものがあるのではないでしょうか。

私も7R試合がストップされたあとの長谷川の顔を見て涙が出てしましました。
Commented by ユウツギ at 2014-04-24 17:44 x
バンタム級では減量が苦しくて、フェザー級では体格負けしていたんで、スーパーバンタム級では、ベストの長谷川穂積が見られるはずだったんですが、いかんせん時期がベストから大きく逸脱していましたね。残念です。
Commented by kaa-scorpion27 at 2014-04-25 11:38
スピードやキレは落ちましたが要所で感情的に打ち合ってしまうところは昔から変わりませんね
でもそういうところが長谷川穂積の魅力だし多くの人を惹き付けるところですね

山中選手と長谷川選手で人気が比較にならないのはそういう部分でしょう

自分は長谷川選手にスパーしてもらった事があるので試合後はやはり泣きました
Commented by nugueira at 2014-04-26 14:21
>スラッカー様
 時代を築いた名王者ほど、引き際は難しいですね。ただ長谷川はこれ以上続けても悲劇を生みこそすれドラマは生まないはずなので、勇気ある決断を望みます。

>みゆパパ様
 今回の試合についてはもう、長谷川がこの戦い方を選んだ、そして負けた。それ以上でもそれ以下でもないし、批評はするだけ野暮かとも思っています。とにかく、いい試合を見せてもらいました。

>ユウツギ様
 全盛期ならここで倒せていた、と思った場面もあったんですが、これが現実でしたね。ただここ何試合かと比べて、長谷川のパフォーマンスは十分素晴らしかったと思います。

> kaa-scorpion27 様
 長谷川とスパーですか!うらやましいです。自分はモンティエル戦当日に武道館前で長谷川と握手をしてもらいました。
by nugueira | 2014-04-23 23:55 | ボクシング | Comments(5)