反り立つ壁に撃沈。


by nugueira

井上vsエルナンデス

 録画に失敗した井上尚弥vsアドリアン・エルナンデスの試合動画をようやく見たので、感想を。

 1Rから積極的に手数を出していくのは井上。丁寧に左を突いた後、ワンツーやボディストレートでエルナンデスを下がらせると、左右のフック、左のダブルと多彩なパンチを披露。出だしからいきなり王者を圧倒する。
 2R以降も井上の勢いは止まらず、左右のボディを次々に打ち込んでエルナンデスを下がらせると、3Rには右ストレートをヒットさせ、さらに左右のフック、左アッパー。上下左右の打ち分けはもちろん、一発ごとに違う角度のパンチを繰り出す完璧なボクシングを展開し、エルナンデスにつけ入る隙を与えない。
 3R終盤にパンチで出血し後がなくなったエルナンデスは4Rにようやく前に出るようになり、手数を増やしていく。しかし井上は再び左を突いてからのボディでエルナンデスを下がらせると、再度ペースを掌握。エルナンデスの右でヒヤリとする場面はあったが、すぐさま連打を入れて盛り返す。エルナンデスの土俵である接近戦もものともせずに前半戦を終了。
 5Rに入ると再びエルナンデスが圧力を強め、手数で優位に。井上はこのラウンドはアウトボクシングを展開するが距離を詰められパンチをもらう場面が増える。4R終了時に足にトラブルが発生していたようだが、それでもエルナンデスの打ち終わりにきっちり有効打を返しており、当日生で見ていたら「エルナンデスがさすがに意地を見せてきた」ぐらいにしか思わなかったのでは。
 迎えた6R、前のラウンドに引き続き圧力を強めて手数を増やすエルナンデスに対し、井上は苦しい展開。それでもボディで反撃し近距離での打ち合いを受けて立つと、ラウンド終盤にアッパーから打ちおろしの右をヒット。ダウンしたエルナンデスは立ち上がるもののファイティングポーズが取れず、レフェリーがストップ。井上が圧倒的な内容で日本人最速の世界王座奪取に成功した。

 感想としては「参りました」の一言。エルナンデスは井上にとって「相性的にやりやすい相手」であったのは確かだが、決して「与しやすいお手頃な相手」ではなかったはず。キャリアの差を考えれば井上が苦戦しても何らおかしくなかったわけで、井上が勝つとしても上手く距離をキープし続けての判定勝利だろう、というのが戦前の自分の立てた予想だった。
 それが始まってみれば序盤からエルナンデスを寄せ付けず、最後は接近戦で打ち勝ってのKO勝利。「周囲のもっともらしい予想を試合内容であっさり振り払ってしまう」のがスーパースターの条件だとすれば、この一戦で井上は間違いなくスーパースターへの階段を駆け上がってみせた。
 井上のここまでのキャリアは「日本人最速記録の更新」というデビュー前から狙っていたレールに沿って組まれてきたが、数字への挑戦はもうここで終了にしていいと思う。防衛回数を重ねるだけの試合にファンが魅力を感じなくなっているのが最近の流れであることは明らかなのだから、ここから先はファンがワクワクするようなビッグマッチを目指して、次のステップへと進んでほしい。

 それにしても、この試合を結果を知らずに見て驚けなかったことが返す返す残念。自分がIT長者だったら、今すぐフジに敵対的TOBを仕掛けてるところですよ。

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by nugueira | 2014-04-10 23:43 | ボクシング | Comments(0)