フロッチ&ライトヘビー級戦線
2014年 01月 15日
まずWBC世界ライトヘビー級タイトルマッチ、アドニス・スティーブンソン vs トニー・ベリュー。序盤から左の一発を打ち込むタイミングを計っていくスティーブンソン。両者とも手数よりは一撃に勝負をかけている様子で、どちらが先にいい一発を入れるかという展開になってくる。
しかし3Rに入ると、一貫して圧力をかけ続けたスティーブンソンの左がヒットする回数が増え、流れが一気に傾いてくる。4Rには打ち合いの中でスティーブンソンがダウン気味の微妙なスリップを喫するものの、そこから再び攻勢を強め挽回。迎えた6R、スティーブンソンの左が相討ち気味に炸裂しベリューがダウン!何とか立ち上がるベリューだが再開後にスティーブンソンが再び左を叩き込んだところでレフェリーがストップ。
スティーブンソンはタイトルを奪った試合が短期決着すぎて「ラッキーパンチが入っちゃったか?」と思ったものだが、その後も左を武器に連続KO防衛。自分の勝ち方をよく知っていて、それに自信を持つことでさらに磨きがかかっている感じ。この人、本当に強いわ。
次はWBO世界ライトヘビー級タイトルマッチ、セルゲイ・コバレフ vs イスマイル・シラク。ロシア人とウクライナ人の試合をカナダでやってるのね。
1Rはシラクがワンツーを打ち込む場面もあったものの、コバレフが圧力をかけ続けて終了。比較的静かな立ち上がりか・・・と思った2R、シラクがパンチを打ち込んだところにコバレフがカウンターの右ショート!立ち上がるシラクだがダメージは隠しようがなく、再開と同時にコバレフに右を打ち込まれると崩れ落ちてそのまま失神。コバレフの試合は初めて見たが、いや強いわ。やはりロシア人の拳とまともに勝負してはいけない。
ライトヘビー級3番勝負のトリはWBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ、ベイブト・シュメノフ vs タマス・コバチ。
シュメノフの試合も初めて見たが、まずその構えにビックリ。腰を落としてスタンスを広く取り、腰の回転というよりは肩の力で一発ずつ押し込むようなパンチ。パンチを打つたびに出る「フッ」という掛け声もあいまって、ボクシングというよりは空手家の試合を見るような感覚。
これで空振りばかりだったら単なる変わりダネなのだが、シュメノフは終始圧力をかけ続けると1R終盤にワンツーから返しの左をクリーンヒットさせダウンを奪取。これで完全に勢いに乗ると2Rにも左でダウンを奪い、最後は3Rに飛び込みながらの右でダウンを奪ったところでレフェリーがストップ。こんなファイトスタイルの世界王者がいるんだから、ボクシングもまだまだ底が見えない。
ライトヘビー級は正直あまり関心が向いていない階級だったのだが、今回登場した3王者はいずれも文句のつけようがない内容での防衛劇。ホプキンスも加えて、どの組み合わせでもいいから王者同士の統一戦をぜひ組んでほしい。
そして今回のメインはWBA・IBF世界スーパーミドル級タイトルマッチ、カール・フロッチ vs ジョージ・グローブス。
グローブスは1R序盤から腰を落とした体勢で連打を出していくと、ラウンド終盤にフロッチが突っ込んできたところへドンピシャのタイミングでカウンターの左!フロッチが初回にダウンを喫するまさかの展開。
倒れ方からしてダメージがないはずのないフロッチだが、2R以降はそんな気配を微塵もみせず前に出続けて攻勢をしかける。それでもグローブスはフロッチ対策を相当研究してきたようで、要所要所で鋭い踏み込みからの右ストレートを打ち込みペースを握り続ける。フロッチが退かずに攻め続けるものの流れはグローブス、という展開で前半戦4Rが終了。
5Rにフロッチが打ち合いの展開に持ち込み一度は流れを取り戻しかけるも、6Rに入るとグローブスの右ストレートが繰り返しクリーンヒット!しかしフロッチはダウンすることなく、逆にラウンド後半は反撃に転じる。こいつは化け物か。
7R以降も前進するフロッチをグローブスが要所要所の一発で制するという展開は変わらず。ポイントで大量リードしているはずのグローブスの側に追い込まれたような空気が漂うという異様なムード。それでもフロッチは逆転するだけの体力がなくなってきているか・・・と思った9R、打ち合いからフロッチの右ストレートが入り遂にグローブスの動きが止まる!フロッチは好機を逃さず猛然とラッシュを仕掛け、グローブスがフラつきながらレフェリーにもたれかかるようになったところでストップ。フロッチがまさかの逆転勝利で防衛に成功。
最後のストップのタイミングは議論になって当然で、間近で見ていたレフェリーの判断を尊重するしかないとも思えるし、不満ならリマッチでも何でも組めばいい。この試合はとにかく、フロッチの馬鹿げたタフネスと突進力が見られたというだけで十分。普通の選手なら1Rのダウンで試合が終わっているはずなのに、そこからいつも通りの突進ファイトを貫いての逆転勝ち。これはもう、今回の試合はボクシングの神様がフロッチのために用意した舞台だったとしか思えなくなってくる。年明け早々、いい試合を見せてもらいました。
そして実際に強いんですけどw
基本的に体が大きい人種なんでしょうか、主だった有名な選手は、ボクシングでもMMAでも重いクラスですよね。
そんな中、ロマチェンコの2戦目でのタイトル挑戦が確定したようで、
こちらも期待大ですね。
ホプ爺さんは上記Lヘビーの3選手との統一選に大乗り気らしいですね。とても勝てるとも思えないけど、なにかやらかしそうな気にしてくれるのがホプ爺さんですw
以前TKが雑誌で言っていた「ロシアは硬水を飲んでいるし、野菜や家畜もその硬水で育っている。だから骨が硬い」という話を思い出しました。ちょっと日本人には到達しようがない世界ですね。
ホプキンスはここまで来たらチマチマ防衛重ねるより大勝負行ってほしいですねえ。勝っても負けても絶対盛り上がりますもん。
自分はライトヘビーでベストなのはコバレフだと思ってます。
レフリーのストップは基本的に早く止める分には問題ないのですが、それでも今回はちょっと早かった。試合中も下手糞だったし、レフェリーが名勝負を壊した感があります。
>不満ならリマッチでも何でも組めばいい。
そうは簡単にいきませんよ。グローブスとプロモーターはリマッチを組みたがってますが、試合に勝ったフロッチはリマッチをやりたがっていません。一応勝ったフロッチにとってリマッチはリスクが高いだけでリターンが少ないので当然かと思います。
グローブスは逃げるなと挑発してますがフロッチは逃げそうですw
それでグローブスは諦めたのかかわりにウォードを挑発して、フロッチはチャベスJrとやりたいみたいです。
ホプキンスvsシュメノフ、スティーブンソンvsコバレフは是非組んでほしいですねえ。フロッチはやっぱり勝ち逃げしたいんでしょうね。
フロッチファンではないですけど、フロッチが引退間近の選手であることを考えると仕方ない選択だと思います。再戦で勝ってもあまり評価が得られないので、それなら更なる挑戦がしたいのは理解できます。
ただ事情は少し複雑化してきました。フロッチの申し入れを受けてIBFは再戦指令を出したのですが、グローブスはIBFの規則でファイトマネーのわけ分が85-15になってしまうことが気に入らないらしく、75-25にして欲しいとIBFに申し入れたのですが、こちらは拒否されてしまいました。これでどうなるか正直よくわからなくなってきました。
続報ありがとうございます。ファイトマネーの話が出てきて、ますます生々しくなってますね・・・。