反り立つ壁に撃沈。


by nugueira

八重樫&村田&井上

 フジテレビのボクシング中継を視聴。

 まず東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦、井上尚弥vsヘルソン・マンシオ。
 1Rにいきなりカウンターの左フックを効かせた井上。2Rも左ボディーを入れ続けた後に連打を集めてマンシオがダウン。立ち上がったマンシオを仕留めきることはできなかったものの、完璧な試合運び。
 この後も井上はマンシオの打ち終わりをきっちり狙い、ボディも交えた多彩な攻めで圧倒。5Rに入るとマンシオが前に出て接近戦を仕掛けていくが、逆に打ち勝った井上がマンシオを下がらせると、怒涛の連打を集めたところでレフェリーがストップ。
 井上は判定に終わった前回の日本タイトルマッチより段違いの出来で、攻守ともに完璧というしかない内容。最期は接近戦を試していた感じすら受けた。これは次戦で世界タイトルに挑んでも文句が言えない、というか狙うしかない流れになってきた。

 続いて村田諒太のプロ第2戦。1R、先に手数を出していったのはデイブ・ピーターソン。しかし圧力をかけて前に出ていくのは村田で、ボディブローを起点に落ち着いて反撃していく。2Rも村田はボディフックを中心に攻勢。KOできるという雰囲気でもないが、着実にペースを握っていく。
 しかしピーターソンは3R以降も手数を出し続け、村田のパンチもヘッドスリップで勢いを殺しているのか、なかなか効いた素振りを見せない。4Rに入ると村田の手数が急に落ち、ピーターソンがますます攻勢を強める。村田はガス欠というよりは長丁場を考えて意図的にペースを落としたとみるべきか、ラウンド終盤には右ストレートを立て続けに打ち込んで反撃。
 それまでジャブが出ず右を活かせなかった村田だが、5Rに入ると一転して左ジャブを出すようになり、そこから右ストレートへつなげて一気に攻勢。試合中にきっちり組み立てを修正する。これ以降はリズムを取り戻した村田の一方的な展開になり、7Rはピーターソンをグロッキー寸前まで追い込む。
 完全に村田の試合になったがピーターソンもタフだし、このまま判定まで行ってしまうか・・・という雰囲気で迎えた8R、開始と同時に村田が猛攻。ロープ際でラッシュを仕掛けプロ・アマ通じてダウン経験のないピーターソンからスタンディングダウンを奪うと、再開後も再び連打を入れたところでレフェリーストップ。2戦連続のTKO勝利を飾った。
 相手のピーターソンは1年以上試合をしていないこともあり「お手頃な相手を引っ張ってきたか」と思えたものの、手数の多さやタフさなど一筋縄ではいかない場面も見せ、決して単なる噛ませ犬ではなかった感じ。試合中にリズムを立て直すクレバーさやリードした展開でも最後に倒しきるプロ意識を確認できたし、長丁場の試合ができたことも含め村田にとっていい経験になったのでは。

 トリはWBC世界フライ級タイトルマッチ、八重樫東vsエドガル・ソーサ。
 1R、互いに手数は少ないが八重樫が上手く距離をキープし悪くない出だし。ソーサはリーチ差を活かそうとしたのか2R以降距離を取るが、こうなると逆に八重樫の出入りの速さが活きてくる。八重樫のスピードにソーサは全くついていくことができず、八重樫は徐々に有効打の数を増やしていく。ソーサに分があるはずの打ち合いの展開になっても八重樫は打ち負けず、連打を入れた次の瞬間には別の場所にいるという素晴らしい動き。
 ソーサは八重樫のスピードに追いつけないままラウンドが経過し、8R終了時に一人はフルマークが付くという大差の展開で終盤へ。9R以降は後がなくなったソーサが圧力を強め接近戦の場面が増えてくるものの、11Rには八重樫が終盤戦とは思えないスピードで再びソーサを圧倒。最終ラウンド残り30秒で打ち合いの場面を作るおまけつきで、大差の判定勝利により2度目の防衛。
 テレビを見ながら「くう~っ!」「うめえ!」とつぶやいてしまう場面が何度も出てくる、盤石の試合内容。指名挑戦者相手にこれだけの差を見せつけてくれるんだから本当に安心して見ていられる。前も書いたが八重樫の持ち味に「激闘」「打ち合い」というフレーズが使われているのはある意味ラベルの貼り間違いで、派手なKOはなくとも相手を完璧に制圧してしまうスピードと技巧がもっとクローズアップされてしかるべきなのでは。

 世界前哨戦でのド派手なKO、苦しみつつも着実な成長を見せる最終ラウンドのKO、実力者相手にハイレベルな技術を示しての判定勝利、と三者三様の試合内容ではあったものの大満足な内容。視聴率がどうなるか分からないが、フジのボクシング中継は引き続き期待してよさそう。

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Commented by みゆパパ at 2013-12-08 09:47 x
いろんな所でも言われてますが、
完全に数日前のお口直しになりましたね。

3人の中で一番今後が心配になったのが、世間から一番期待されている村田だったっていうのも皮肉なものです。
上体の柔らかさがなさすぎで、今後多彩な攻めを持った選手相手だと、ブロックだけで凌ぐのは無理でしょう。
もう一点は、やはり中量級としてはパワーが足りないかなと。
村田自身が相手がタフだったで終わらせることはないかと思いますが、
ゴロフキンだったら何Rで仕留めていたでしょうね。

日本人選手で唯一世界進出が約束されている存在だけに、
この心配が杞憂で終わってくれればいいのですが。
Commented by なちょ at 2013-12-10 17:15 x
村田はとりあえず時間かかりますね。スタイルの見直しも必要でブロック主体で行くのかどうするのか。
スタンディングダウンは無くなったはずだけどレフェリーはとってたあれはおかしい。

八重樫は凄かった。苦戦するかもと思ってたら、ソーサに衰えがあったのは確かだけど、まったく寄せ付けずに完勝するのは想像していなかった。
Commented by nugueira at 2013-12-11 22:49
>みゆパパ様
 いやもう、亀田家やIBFの撒き散らしたもやもやをきれいに振り払ってもらいました。村田についてはあの階級で世界を狙うのが茨の道なのは分かりきっているので、今のところ順調なステップアップを見せていると思います。

>なちょ様
 スタンディングダウンなくなったんですか!初めて知りました。
 八重樫は下馬評でも苦戦するという声がそれなりに多かったと思うのですが、本当に安心して見れましたね。
Commented by なちょ at 2013-12-16 06:10 x
スタンディングダウンは10年以上前からなくなりました、アメリカでは毎回テレビのルール解説で画面に表示されています。ただ世界ではあまり厳格に運用されていない部分もあり、アメリカでは見た記憶は無いのですが、日本やイギリスではたまにスタンディングダウンを取る場面を見かけます。

八重樫の勝利は世界的に見てもこの階級でトップ3にいることを示した快挙であり、あの戦術を取ったのは何も問題ないのですが、正直に言えば、八重樫の出入りに打つすべ無しのソーサに衰えを感じました。
Commented by nugueira at 2013-12-18 22:17
>なちょ様
 そんなに前からなくなってたんですか・・・。ちょいちょい見ているような気もするのですが、レフェリーストップと記憶がごっちゃになっているのかもしれません。
Commented by なちょ at 2013-12-19 02:12 x
http://www.ringsidebygus.com/boxing-rules.html

気になったので調べてみましたが、アメリカの独自統一ルールはもちろんのこと、主要四団体全てでスタンディングダウンは禁止されていました。時期についてはwiki調べですがアメリカの独自統一ルールで禁止されたのが1998年となっていました。

言われてみると自信がなくなってきました、アメリカでもちょいちょいあったかもしれません(笑)
それと今回ルールを調べていて見つけたのですが、イギリスではタイトルマッチ以外はジャッジ一人でするみたいです、しかもレフェリーがジャッジも兼務してるみたいです。確認するためにBOXRECでイギリスのボクサーを見てみたら、採点結果が1つしか書いていないので多分本当にジャッジは一人なんだと思われます。
Commented by nugueira at 2013-12-22 18:27
>なちょ様
 イギリスのそのルール、すごいですね。ジャッジ3人でもこんなに危なっかしい判定が多いのに・・・。
by nugueira | 2013-12-06 23:55 | ボクシング | Comments(7)