粟生陥落
2012年 10月 27日
東京国際フォーラムはコンサートホールなのでリングはどこに置くの?と思っていたのだが、ステージ上にリングとパイプ椅子が置かれてその他の客はコンサートホールの配置のままリングを見る、という変わった構成に。これだと後方や2階席の方が見やすそう。
前座ではまず昨年内山高志に挑戦してKO負けしている三浦隆司が登場。三垣龍次との一戦はKO決着必至という触れ込みだったが、1Rにワンツーで打ち込んだ三浦の左ストレートがクリーンヒットし三垣がダウン。ダメージが残る三垣に三浦がパンチ連打を入れたところでレフェリーがストップし、圧巻の1ラウンドKO。思わず「強いわ!」という高田延彦風の台詞を叫んでしまった。
セミでは日本バンタム級王者の岩佐亮佑が亀田興毅への挑戦経験を持つデビッド・デラモラと対戦。序盤からデラモラが突っ込んでくるところに岩佐が上手くパンチを合わせ、4Rには岩佐の左が再三デラモラを捉える。完全に岩佐ペースで試合が進んでいくが、デラモラは追い込まれてからいなす技術に長けておりダウンにつながる決定打を許さない。一方の岩佐も一発のタイミングはいいのだが連打で攻めるタイプではないのか詰めの部分で攻めあぐねた印象のまま試合終了。
判定では三者とも100-90のフルマークで岩佐が勝利。岩佐が様子を見過ぎた感じのラウンドもあり、正直フルマークがつくほどの差はなかったと思うが、決して看板倒れではなかった相手にキッチリ勝ったのは評価していいのでは。
そしてメインは粟生隆寛vsガマリエル・ディアスによるWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ。
序盤からどうも動きの硬い粟生はディアスの右をもらってしまう。2R後半あたりからようやく上体の動きのリズムが良くなってくるが、後手に回ってしまう展開は変わらず。リーチ差もあってやりにくいのだろうが嫌な流れを変えられず、4R終了時で挑戦者が2-1でリード。
中盤に入っても粟生は展開を変えることができず、ディアスのパンチを不用意にもらい続ける。6Rにディアスのパンチを見切って上手くかわす場面は作ったのだが、その後の反撃がなかなか続かない。ディアスは距離感を取るのが上手く、粟生は自分の間合いでパンチを打たせてもらえないままラウンドが経過。結局最後まで粟生は流れを引き戻すことができず12Rが終了。判定3-0で敗れ、王座から陥落した。
ディアスは2度にわたり反則による減点を食らったにも関らず勝利したわけで、粟生は言い訳のしようがないない完敗。中盤以降はスリップする場面も多く足腰の踏ん張りが効いていなかった感じで、去年見に行ったときの防衛戦もそうだったけど減量に相当苦しんでいるのでは。スーパーフェザーでやっていくのはキツくなっているんだろうけど、仮にライト級に上げてもパワー負けしそうだしなあ。
今回の敗戦でかねてから熱望していた内山との統一戦は完全に幻に。ビジネス的にももちろん痛いが、粟生の今後のキャリアという意味でも重い一敗になりそう。
粟生はせっかく本田会長が用意してくれたカマセに負けちゃいましたね、これで内山戦は消滅、日テレの地上波中継も無くなった可能性もあります。色々な面で痛すぎる敗戦、試合後本田会長が怒っていたのも無理がないのかな。
劇場型の会場で興行をやるのは地方を中心に増えています、椅子を並べなくて済むなど設営費の面で楽なんだと思います、でも観客目線だと余り歓迎できない、どうも盛り上がりに欠けるんですよね。
観客がリングを4方から囲う形じゃないと盛りあがらない気がします。
お客さんの入り具合はどうでした?