G1クライマックス観戦記
2005年 08月 17日
新日観戦は去年のG1以来1年ぶり。ここ最近自分の中でのプロレス離れが著しいので「今日は盛り上がるのかなあ」と勝手に心配していたが、会場に行ってみると例年どおり超満員の入り。やはり新日の最後の砦。根強い支持者が多いねえ。
第2試合 リスマルクJr○-×飯塚高史
第3試合 ハングマン○-×ヒロ斉藤
前座に新顔外国人2名が登場したが、いずれも不発。
メキシコ版G1優勝者のリスマルクJrはところどころいい動きはしていたが、いかんせん相手が飯塚では辛い。空中技VSねちっこいグラウンドだもん、そりゃ噛み合わないよ。マッチメイク担当者には猛省を促したい。
続いて登場のハングマンもよく分かんない。ていうか穿いてるのがどう見ても普通のジーンズなんだけど。大型外人らしい大味な勝ち方をしていたが、ヒロのセントーンの場面の方がなんぼか盛り上がっていたのはいたし方ないところか。
準決勝第1試合 蝶野正洋○-×中邑真輔(裏STF)
蝶野入場の瞬間に場内大盛り上がり。真輔はゴング前から明らかな劣勢状態に。
まあ仕方がない。プロレスで格上と戦うということは相手の「歴史」そのものを敵に回すということなんだから。
試合が始まると蝶野の動きが非常にいい。真輔もコーナー最上段からの空中技を多用するが、要所要所で蝶野がかわして自爆。やっぱうめえな。
最後はSTF→裏STFで蝶野が完勝。「生え抜きが優勝」というG1の鉄則からすると真輔の初Vもありかな、とも思っていたんだけど・・・やっぱり格の違いは如何ともしがたい。
準決勝第2試合 藤田和之○-×川田利明(ヒザ蹴りから片エビ固め)
場内の川田への声援の凄いこと。真輔よりも人気あるわ。やはり「純プロレス」への熱い支持は所属を問わないということか。
開始早々、川田のキックVS藤田のヒザ蹴りという予想どおり、そして予想以上の妥協なきぶつかりあい。
藤田のヒザ蹴りを何発食らおうとも平然と立ち上がる川田。そりゃそうだ、ヒョードルのパンチよりも痛い三沢のエルボーに耐えてきたんだから。一方で川田のキックをもらっても効いたそぶりも見せない藤田。やはりこの男もバケモノ。
いつまでも続くかに見えた、そしていつまでも続いて欲しかったシバキ合いは開始から6分少々、頭部へのヒザ連打からの藤田の片エビ固めに3カウントが入り、あまりに唐突な終焉を迎える。
納得いかない観客。そして納得いかない川田。当たり前だ、もう30~40分は軽く続けられたはずなんだから。でも安心しろ。場内全員、どっちが格上だったかはちゃんと理解しているから。
決勝 蝶野正洋○-×藤田和之(裏STF)
試合前のケロのマイクから「夏を駆け抜けた16人の男たち。そして、天へ昇ったひとつの魂・・・。」という言葉が。そして蝶野の入場の瞬間、流れたのは『爆勝宣言』の導入部分。
やられた。もっと早く気づいてよかったのに。あるいはこれまで、「あの男」の名前を出してこなかったのは全て蝶野の計算なのか。
蝶野のリングイン後も、ゴングが鳴ってもやまない、叫びにも祈りにも似た大・蝶野コール。この瞬間の国技館は蝶野の、そして橋本のための舞台だった。
開始直後からボディスラム、ヒザ蹴り、チョークスリーパーと攻め立てる藤田。ヴァーリトゥードのリングでは説得力をもつこの男の攻めも、プロレスのリングではブーイングの対象にしかならない。
ペースを奪い返した蝶野が、コーナーに串刺しにした状態でのシャイニング・ケンカキック。そしてお株を奪う頭部へのヒザ連打に、これまでと打って変わって沸き返る場内。強さではなく巧さと存在感が格を決めるこのリングを、藤田が理解できる日は来るのだろうか。
最後はシャイニング・ケンカキック2連発を決めた蝶野が3カウント。時間にして8分少々、ボリュームとしては物足りない、でもあまりにも完璧なハッピーエンドで夏の本場所は幕を閉じた。
「準決勝から、何か別の力が俺を後押ししてくれた。」
「これまで色々なことを教えてくれたプロレスに感謝している。」
蝶野でなければ喋れない、説得力のある言葉。幸か不幸か、やはり彼以上の「夏男」は存在しえない。
一方の藤田。数字の上では「全勝優勝一歩手前での敗戦」という完璧なヒールを演じきったが、ヒザ蹴りとチョーク以外の攻撃ができず、長丁場の試合もしない「グリーンボーイ」に客は説得力を感じたのだろうか。この男のいるべき場所はここではない、と感じたのは私だけではないはず。
予定調和な大団円だけど、それがなんとも心地よい夏の一日。やっぱりプロレスと完全に縁が切れる日は、なかなかやって来ないようだ。
来年はぜひ生放送復活を。人気blogランキングへ