反り立つ壁に撃沈。


by nugueira

UFC129の感想

 UFC初のスタジアム興行となる今大会。5万5000の大観衆で埋め尽くされたドーム球場は壮観の一言。少し前まで日本ではおなじみの光景だったはずなのに・・・。UFCはこれでまた、日本が追いつけない次のステップへ行ってしまった。

マーク・ボーチェック×-○ベン・ヘンダーソン(判定)
 スタンドの打撃で攻めるベンヘンに対し、ボーチェックはしつこく組み付いていく。1R終盤にボーチェックがテイクダウンに成功し、やや印象がいいか。
 それでも2R以降はベンヘンがヒザ蹴り、テイクダウンからのパウンドでペースを握り、判定で完勝。恥ずかしながらベンヘンの試合を初めて見たが、アグレッシブに攻める非常に好きなタイプの選手。WECライト級はなんだかんだで層が厚いな。

ウラジミール・マティシェンコ○-×ジェイソン・ブリッツ(1R KO)
 開始早々、マティシェンコが右アッパーから左フックをクリーンヒット。倒れたブリッツに追撃のパウンドを入れ、わずか21秒でのKO勝利。正直マティシェンコはオールドネームという捉え方しかしていなかったのだが、これで2戦連続KO勝利。じわりと存在感を増してきたか。

ランディ・クートゥア×-○リョート・マチダ(2R KO)
 これまで同様カウンター狙いの構えを見せるリョートだが、時おりノーモーションのパンチを出していく。前に出ているのはクートゥアなのだが圧力をかけることはできず、なかなかテイクダウンの機会をつかめない。リョートがクリーンヒットはないものの、ヒザやパンチを着実に入れ1R終了。
 迎えた2R、リョートが左足を浮かせると、空中で右足にスイッチして前蹴り。アゴを打ちぬかれ、大の字に倒れるランディ。アンデウソンに続き、セガール幻想を爆発させる前蹴り一撃でリョートがランディを介錯。(この瞬間、私のツイッターのTLが「セガール蹴りだ!」「セガール最強!」と、「セガール」という単語で埋め尽くされた。)
 全盛期のランディなら前に出続けて相手を自分のペースに絡め取っていたはずだが、それができなかったのはやはり衰えか。とはいえ、47歳でこれだけのパフォーマンスを見せ続けてきたことがそもそも驚異的。これまでランディが見せてくれた激闘の数々に、ただひたすら感謝するほかない。
 一方のリョートは、ここまでの連敗を帳消しにするほどのインパクト満点の勝利。こうなったら一刻も早くジョーンズ戦を実現してほしい。ああ、エヴァンスの挑戦がキャンセルにならないかなあ。練習中の怪我とか親知らずが痛むとかペットロスで戦う気になれないとか、この際理由は何でもいいから。

ジョゼ・アルド○-×マーク・ホーミニック(判定)
 序盤からアルドがパンチと重たいローのコンビネーションで攻勢。さらにテイクダウンを奪ってパウンドを落とし、完全にペースを握り1R終了。
 2R以降は落ち着いて体勢を立て直したホーミニックがスタンドで有効打を入れるようになり、打撃でやや劣勢のアルドがテイクダウンでポイントを取るという予想外の展開に。それでも3Rにはアルドの右フックでホーミニックがダウンし、試合は完全にアルドのペースに。
 4Rには打撃をもらったアルドの額にマンガのようなタンコブができ、ストップがかかってもおかしくない状況だったが試合続行。すると最終R、ホーミニックがテイクダウンを奪うと、防戦一方のアルドにパウンドの嵐。大逆転のKO勝利なるか、という空気も一瞬流れたものの、アルドがどうにか耐え切って試合終了。かなり危ない場面を見せながらも、アルドが防衛に成功。
 日沖が以前ホーミニックに勝っていることもあり、この試合にはどうしても「日沖ならどこまで通用するか」という視点がつきまとってしまうわけだが、その点でいうと「十分勝機あり」という結論になってくる。アルドの打撃のキレやディフェンスの反応の良さは脅威だけど、今回の試合でそれなりに穴も見えてきた感じ。日沖ならホーミニックより引き出しが多いだろうし、サンドロ戦のように最終的に絡め取ることも十分可能なんじゃないかと思えてくる。こりゃ日沖待望論がますます強まっちゃうな。

ジョルジュ・サンピエール○-×ジェイク・シールズ(判定)
 GSPは1Rから徹底したボクシング勝負。クリーンヒットはないもののパンチの精度・有効打では着実に上回り、シールズはなかなかテイクダウンの機会をつかめない。
 文章をはしょるわけではないが、2R以降も同様の展開のまま時間が経過。中盤からシールズの細かいパンチも入るようになりGSPは顔面から流血するものの、試合の主導権自体は譲らず、4Rにはハイキックでシールズをダウンさせる。この試合は「シールズがいかにグラウンドの展開に持ち込めるか」が最大にして唯一の焦点だったわけだが、終わってみればグラウンドの攻防はほぼ皆無。ジャッジの点数に関していえば接戦だったが、シールズに自分の試合をさせず、GSPが鉄壁の内容で防衛を果たした。
 GSPのファイトスタイルの幅広さや技術は認めるし、今回の試合に関していえば序盤で左目が塞がった影響もあったんだろうけど、やっぱり決めきれない試合内容は不満。反論は覚悟しつつ「反GSP」の立場を毎度取っていますが、GSPって「名勝負・名場面なき名王者」だと思うんですよね。層の厚いUFCでこれだけ完璧な防衛を続けていること自体は凄いんだけど、じゃあ過去の防衛戦を振り返ってすぐ頭に浮かぶ試合・場面があるかというと、正直なかなか出てこない。そこがアンデウソンとの差かなあと。
 しかしウェルター級も層が厚いといいつつ、ぼちぼち目ぼしい挑戦者が思い浮かばなくなってきた。ここはニック・ディアズ戦の実現に向けてぜひ動いてほしいなあ。
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Commented by gsp at 2011-05-04 19:01 x
GSPは強すぎるがゆえに決めることができませんよね。
GSPの過去の試合でインパクトが強かったのはマット・セラを膝蹴りでめためたにした試合がインパクトが大きかったです。最近はないですが…

日沖は技術は世界クラスだと思うんですがあのフィジカルじゃあどうしても金網じゃパワー負けしてしまいそうな気がします。
Commented by 骨骨 at 2011-05-04 21:20 x
いつもの圧倒しまくっての判定勝利とは違い
自分にはかなり余裕のない勝ち方に見えたのでいつもより印象悪いですね
それにしてもGSPってこんなに打撃が単調な選手だったかなぁと
目の異常があったのは事実だけど組み技でアドバンテージ握れないとこんなもんなのかな
地元のメガ興行でブーイング浴びるのは堪えたんじゃないかな
Commented by nugueira at 2011-05-07 17:06
 レス遅くなり恐縮です。
>gsp様
 3度目のヒューズ戦→2度目のセラ戦の時期は本当に凄かったんですが、その後はイマイチですね。日沖のフィジカル面の不安はご指摘のとおりで、簡単に漬け込まれて敗戦、という結果も十分想定し得ると思います。

>骨骨様
 2Rから右のオーバーフック一辺倒で、見てるこっちが不安になりました。目のトラブルがなければコスチェック戦と同程度にはシールズをボコボコにしていたんじゃないかと思います。
by nugueira | 2011-05-02 23:24 | UFC | Comments(3)