反り立つ壁に撃沈。


by nugueira

皇帝陥落。歴史の終焉。

エメリヤーエンコ・ヒョードル×-○アントニオ・ペイザォン・シウバ(2R 終了TKO)
 開始から前に出てパンチを振るっていくヒョードル。だが体格差もあってかなかなか距離が合わない。シウバの懐でフックを出す場面もあるが、ここはシウバがスウェーバックで回避。シウバは落ち着いてヒョードルの動きがよく見えている感じ。
 1R後半には打ち合いからシウバの右がヒョードルを捉える。シウバはパンチからタックル狙い、さらにまたパンチ、と攻撃の切り替えが上手く、ラウンド終盤にはテイクダウンに成功。ダメージはさほどではないものの、徐々にシウバのペースになる嫌なムードで1R終了。
 2R開始早々、パンチを振るうヒョードルにシウバがドンピシャのタイミングでタックルを入れテイクダウンに成功。そこからマウントを奪ったシウバは、トップをキープし続けパウンドの猛攻。ヒョードルが背中を向けると裸絞めを狙っていく。ヒョードルは打開策を見出せないまま防戦一方。これが規格外の体格と柔術の技術が融合した結果なのか。
 シウバはここから更に肩固め、さらにはヒザ十字を狙っていく。終盤にヒョードルは起死回生のアキレス腱固めを仕掛けるが、これはシウバが効いていないとアピール。残り時間の少なさを計算した上での動きだったか。
 2Rは何とか持ちこたえたものの、右目を大きく腫らしたヒョードル。もう続行は無理では・・・という空気が流れる中、無常のゴング。捲土重来を期すはずのトーナメント。皇帝は初戦で姿を消した。

 今回の敗戦は出会い頭の一発でもなければ、ヒョードルに油断があったわけでもない。シウバが強く、自分のゲームプランを完璧に遂行したからヒョードルが負けた。その点でファブリシオ戦とは敗北の重みが全く違う。
 ただ、今回のヒョードルの敗戦が完全に予想外かといえばそうではない。おそらく多くの人が「今回はひょっとしたら・・・」という不安を抱えつつ、「それでもヒョードルなら何とかするはず」という半ば祈りに似た思いを抱えていたのでは。ここにヒョードルの神話性というか絶対性がよく表れていると思うのだけど。
 とはいえ、皇帝はパワーと技術の前に、言い訳のできない内容で敗北を喫した。思えばミルコ・ノゲイラ・シウバ・五味といったPRIDE出身の選手が敗北を重ねる中、ひとりだけ勝利を重ね続けるヒョードルは一人で「PRIDEの歴史」を背負い続けている状態だったのかもしれない。単なるセンチメンタリズムかもしれないが、ヒョードルが完敗を喫したこの日は、本当の意味で「PRIDEが終わった日」なのではないだろうか。

 試合後のマイクでは引退も示唆したヒョードル。今後の去就はプロモーターの思惑なども絡んで簡単にはいかないかもしれないが、今はもう、ヒョードルにもう一度戦ってほしいというわがままを言う気にはなれない。
 ただひたすら、ヒョードルという存在と同じ時代に生まれた幸運に感謝する他ない。
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by nugueira | 2011-02-15 23:20 | Strikeforce | Comments(0)